50年前の七夕豪雨をはじめ多くの水害をもたらしてきた静岡市の巴川で、11月から被害の軽減に向けた川の改修工事が始まりました。氾濫を繰り返してきた理由と治水対策を取材しました。

静岡市葵区から清水港まで約18kmを流れる巴川。

県が管理する二級河川で決して大きな川ではありませんが、これまで多くの水害をもたらしてきました。

50年前の1974年7月7日に起きた七夕豪雨。

24時間の雨量が508mmという記録的な大雨によって巴川が氾濫、静岡市で死者27人、約2万6000戸が浸水しました。

その後も巴川の流域は台風などによる豪雨のたびに浸水被害に見舞われました。

永井学 記者:
巴川流域はなぜ浸水の被害を受けやすいのでしょうか。その理由は巴川独特の形状にあります

川の水は標高約100mの源流部からわずか5kmほどで標高5mまで一気に流れ、その後、河口の清水港まで約13kmは平らな土地を緩やかに蛇行しながら流れます。

静岡土木事務所 河川改良課
望月一弘 課長:
もともと低いところを流れているので勾配が非常に緩く2kmで1m下がる勾配のため、流れが非常に緩やかといえます

このため、県や静岡市は七夕豪雨直後から巴川流域の雨水が川に多く流れ込まないようにする対策に力を入れてきました。

その1つが大谷川放水路です。

雨水を引き受け直接海へ流すバイパスのような役割を担い、総事業費約553億円をかけて1999年に完成しました。

そして、巴川中下流域に広がる葵区の麻機遊水地と清水区の大内遊水地。

川に雨水が流れ込むスピードを抑えようと整備され工事は今も続いています。

麻機遊水地はサッカー場280面分の広さがあり、湿地帯の自然環境を生かした公園や遊歩道は市民の憩いの場としても活用されています。

この遊水地は海外からも高い評価を受け、2024年10月にはアフリカの関係者が視察に訪れました。

永井学 記者:
巴川の下流に来ています。現在、川の中では重機を使って川底を掘削する工事が行われています

清水区の巴川下流域は両岸いっぱいまで住宅や飲食店などが立ち並んでいるため、川幅を広げることはできません。

このため、県は河口から約2kmの川底を2mほど掘削し流れる水の量を増やす狙いです。

同時に橋も架け替えますが、橋脚は現在の4本から1本にして水を流れやすくします。

このほか、静岡市は流域の学校のグラウンドや公園を雨水がたまるように整備。

また、家庭で雨水をためる専用のバケツの設置に補助金を交付するなど県と市が共同で流域の治水対策に取り組んでいます。

静岡土木事務所 河川改良課
望月一弘 課長:
各家庭で出来ることとしては大雨の時に風呂の水を流さない、降った雨をバケツ1杯でもためておくなどを皆さんが実行することで川の水位の上昇を抑えることができ、浸水被害を軽減することができる。(Q.それだけでも違う?)はい

異常気象によって激甚化している豪雨災害。

国や自治体による効果的な治水対策に期待はかかりますが、私たち市民も日ごろからできることを実行することが必要です。

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