Q ぬか床を長く使っていますが、漬けた物がおいしくなくなってきました。お手入れの方法を知りたいです。 A 甘味、うま味、香味追加

多彩なぬか漬け。(上から時計回りに)ビーツ、赤カブ、ダイコン、ニンジン、キンカン、ゴボウ、タマネギ、こんにゃく、キクイモ。中央はブロッコリー(いずれも荻原由美さん提供)

 玄米を精米した時に出るぬかに野菜などを漬けたぬか漬けは、江戸時代から食卓に欠かせない発酵食品です。一般社団法人「発酵ライフ推進協会」池尻大橋校(東京)校長の荻原由美さんが、その魅力や作り方の工夫を教えてくれました。  「お米の栄養素の多くは、ぬかにあり、ぬか漬けにすると栄養価が増します。浅漬けや古漬けで長く味わえて、腸の働きを整える『腸活』にも適しています」  基本的な材料はぬかと塩、水。生の米ぬかが手に入ればおすすめですが、スーパーなどに並ぶ煎(い)りぬかでも大丈夫です。防腐のための赤トウガラシ、うま味を出す昆布や干ししいたけも細かく切ったり、すりおろしたりしてほうろう容器などに入れます。さらに野菜を「捨て漬け」として入れ、毎日取り換え、かきまぜて、1週間ほどかけて、ぬか床を作ります。野菜に付いた乳酸菌や、酵母菌、酪酸菌の働きで発酵します。  ぬか床ができたら、いよいよ「本漬け」。よく使う野菜はキュウリやダイコン、カブ、ニンジン、白菜など。小さく切ったり、皮をむいたりして漬けると早くできます。夏場も早く漬かります。常温が基本ですが、夏や旅行中は冷蔵庫に入れてもよいそうです。ぬか床は毎日、底からかきまぜて空気を取り込みます。  ぬか床は使い続けると量が減り、くたびれます。そうしたときは、足しぬかをして、塩も加えます。塩はミネラルが豊富な海水塩などを使い、塩分濃度は、米ぬかの10~15%を目安とします。「毎日ぬか床をちょっとだけ食べてみて、味をチェックしています。塩は少しずつ入れて、足りなければ加えていきます」  荻原さんは、おいしさが失われてきたと感じたら、すりおろしたリンゴや刻んだレーズンを入れるなどしているそうです。干ししいたけ、かつお節、いりこなど小魚の煮干しを細かくして追加したり、ユズの皮やサンショウの実、大葉、米こうじも入れたりするといいます。「塩味や酸味だけでなく、甘味やうま味、香味を加えるとおいしくなります」

ぬか床に昆布や干ししいたけなどを追加。ユズの皮やサンショウの実、すりおろしたリンゴ、レーズンも入れる

 ぬか床が水っぽくなったら、足しぬかをしたり、切り干し大根や乾燥えのきなどの乾物を入れたりします。「いろいろな野菜を漬けることで、ぬか床の味も豊かになります。自分好みに調整していくのも楽しいですよ」。定番の野菜だけでなく、キウイやリンゴ、柿、アボカド、ミニトマト、ゆで卵なども、おいしいぬか漬けになるそうです。  漬けたキュウリなどは刻んでポテトサラダやちらしずしに入れることも。木綿豆腐のぬか漬けも荻原さんのおすすめ。重しをのせて水切りしてからガーゼなどに包んで漬けます。オリーブオイルや黒こしょうをかけると、ワインとよく合うそうです。「ぬか漬けは和食だけでなく、洋食やお酒のつまみでもいけます。ぜひ楽しみ方の幅を広げてください」 (土門哲雄)

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