注意が必要な野生動物はクマだけではない。福井県内では集団登校中の児童が野生のサルの群れと遭遇したり、動物園に出没した野生のサルが女性や子供を威嚇したりする事態となっている。
この記事の画像(11枚)児童がサルの群れに遭遇
福井・南越前町で11月下旬、野生のサルの群れが移動する様子を収めた動画が、福井テレビアプリに投稿された。斜面から次々にサルが飛び出し、中には背中に子ザルをのせた状態で走り去るものも。
撮影したのは同町に住む加藤ミドリさんだ。「畑を見に来た時に、行きは何ともなかったが、帰りの道でサルがダーッと逃げ出してきたので、慌てて携帯を出して車の中から撮った。怖くて車の外に出る気はしなかった。車だったから助かったけど…。凄いスピードで走っていったから、サルも怖かったんでしょうね」と当時の様子を振り返る。
また、加藤さんの親戚の照美さんは6月に、小学生が集団登校中にサルの群れに遭遇した現場を目撃した。「サルが何十匹もいて、女性も子供もいたので危ないと思ったから、近くの男性を呼んで『追い払って』と。そしたら一斉に逃げていった。子供には被害が無かったから良かったけど、学校の帰りとかいつ(サルの出没が)あるかわからないしね」と野生のサルへの恐怖を口にする。
野生サルの出没は福井市内の人が集まる場所でも確認されている。
女性や子供を威嚇
福井市の足羽山公園遊園地では、10月に入り野生のサルが頻繁に園内に出没するようになった。特に、サル舎の周辺をうろつくことが多いため、11月1日からはサルの檻周辺を閉鎖している。
取材中も、サル舎の屋根に、野生のサルが座っているのが確認できた。カメラに気付いても特に警戒する様子はない。
檻の周りを野生のサルがうろうろするため、飼育しているサルが警戒する様子も見られるという。また、特に女性や子供に対して威嚇することがあるといい、現在は捕獲用の檻を園内の2カ所に設置している。飼育員の池田茜さんは「安全を優先してサル舎の周りを封鎖しているので、早く解放して客に楽しんでもらいたい」と話す。
サルの捕獲頭数は増加傾向
福井県のまとめでは、2023年度は前年度に比べて約70頭多い894頭の野生のサルを捕獲した。10年ほど前から緩やかな増加傾向にあることについて、県鳥獣害対策室の上野良一室長は「高齢化や人口減少などにより集落が過疎化し、使われていない畑も増えているため、サルが集落に下りてきやすい状況になっているのではないか」と分析する。
「サルは他の野生鳥獣と違って、一般的には十数頭から百頭くらいの規模で群れをなして広範囲を移動する。イノシシやシカの行動範囲は決まっているが、サルの場合は常時新たな餌場を求めて移動する」(上野室長)また、秋に限らず季節の野菜や果物が実る時期に出没しやすいという。
野生のサルのへ対策としては「住宅地にサルを引き寄せないことが重要なので、家の周りにサルの餌となるような食べ物や生ごみを置いておかないようにしてほしい」と呼び掛ける。
万が一、野生のサルと遭遇した場合はー
県鳥獣害対策室 上野良一室長:
決して近づかず、目線も合わせないようにしてほしい。目線を合わせるとサルは威嚇されたと認識してしまうので、サルを刺激したり興奮させたりしないことが重要。大声で威嚇したり、興味本位で驚かせたり、歯を見せて笑ってからかったりもしないようにしてほしい。
県は、今後も、住宅地でサルが出没する可能性があり注意を呼びかけている。
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