■独特な「人」の作品

手のひらサイズから、見上げるほど大きなものまで。

人のように見える作品たちは一体何なのか。

制作者は、「オレクトロニカ」という2人組。
彼らに会うため、大分県の豊後大野市にあるスタジオを訪ねた。

■オレクトロニカとは

2人の結成は2011年。
大分市出身の加藤亮さんと、熊本県出身の児玉順平さんによって
オレクトロニカは誕生した。

大分県の豊後大野市を拠点とし、「制作と生活」をテーマに活動を展開中。
結成当初から制作の中心となっているのが、「フィギュア」と呼ばれるヒトガタの作品である。

2022年には「大分アジア彫刻展」で大賞を受賞。
各地で展覧会を開催するなど、美術界注目の2人なのである。

でもなぜ「人」のカタチなのか、聞いてみると…

■作風も、感じ方も、飾り方も…「自由」

◆オレクトロニカ 
児玉「2人とも、何かを作りたい、作る理由が欲しいという思いだった。その作る理由で腑に落ちたのがヒトガタだった。自分たちが人間だから、人間しか彫れない。…だよな?」

加藤「…はい!」

…実は本人たちもよくわからないらしく、
いろいろ考えた結果、一番しっくりきたのがヒトのカタチだったんだとか。


◆オレクトロニカ 加藤
「人のカタチなら、いろんなものが投影できるんじゃないか。いろんなものの基準になるのが人」


彼らが放つ独特の空気感には圧倒されてしまう。
2人が手がけた作品の最大の特徴とは…?

◆オレクトロニカ 加藤
「オレクトロニカの作品は、フィギュアひとつで成立するというよりは、環境や風景など、手に入れてくれた人が自由に置く場所を決めることで、作品の見え方が変わったり、物語が生まれたりする。それをすべて含めて作品なんです」


作品を買ってくれた人にも、「自分を信じて自由に飾ってね」それが2人のスタンスなのだ。

■自由の中にある、たったひとつのこだわり

生活の中にアートが入っていく。
それがオレクトロニカの願い。

2人が手がけた作品は、感じ方を見る人の感性に委ねている。

見ている人が「泣いている」「悲しんでいる」と感じれば、それが正解だという。

ただ、ひとつだけこだわっていることがある。

それは、性別も国籍も喜怒哀楽もない、直立不動のこのカタチ。


◆オレクトロニカ 児玉
「ちょっと何か動きがあると、色がついてしまうので…」


直立不動の人だからこそ、何を考えて、何をしようとしているのか、わからない。
人によって、または作品を見る時期によっても、捉え方はまったく違うものになる。

見る人の想像力を掻き立てるのが、オレクトロニカ作品の魅力である。


■考え方は…正反対の2人

◆オレクトロニカ 加藤・児玉
「意見はほぼ合わない。でも、ぶつけてぶつけて、残ったものがある。それを拾い上げたのがオレクトロニカ」

実は2人、大学時代から20年以上続く同級生コンビ。
考え方は正反対。しかし、2人でつくった作品は全てオレクトロニカのもの。

通常はひとつのコンセプトを決めるアート作品も、オレクトロニカは無理にひとつに絞らない。

■あなたも、オレクトロニカワールドへ

作品を褒められても、まったく実感がないというオレクトロニカの2人。

取材したディレクターいわく、「2人でシュールなコントやってるのかなっていう感じ」なんだとか…(笑)


そんな2人の個展が、来年1月10日から2月16日まで、大分市美術館で開催される予定だ。

作品の感じ方は自由!
オレクトロニカワールドに触れたい方は、ぜひ訪れてみては?

この取材ではお見せしきれなかった、すごい作品も登場する…そうですよ。

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