家族が亡くなり、スマートフォンやパソコンで管理していた、いわゆる「デジタル遺産」にアクセスできない…

 いま、遺族からこうした相談が増えています。

 トラブルを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。


 亡くなった家族がスマホやパソコン上で契約していたネット銀行やネット証券などの「デジタル遺産」。通帳や書類がなく、相続する際に困るケースが増えているといいます。

 総務省の調査ではスマホでインターネットを利用する人は、20代から50代までは約9割。60代で8割、70代で5割となっています。

 ネットでさまざまな契約をしている人が少なくない今、デジタル上の資産はどのように管理されているのでしょうか。


 「ネット銀行(を使っています)。(対策は)全くしてないです」

 「スマホ(のロックを)開けられない。夫婦でも。夫が内緒でやってたら分からない。資産を持っていても」

 「(妻が)株はやってます。詳しくはよく分からない。(IDやパスワードについて)考えたことはなかった」

 「株だったら父がやっている。(証券会社など)何も知らない」(いずれも北海道民)

 国民生活センターによりますと、「デジタル遺産」のトラブルについて主な相談は2つあるといいます。

 1つ目は、パスワードやIDが分からずスマホやパソコンのロック画面を解除できないというケース。

 2つ目は、サブスクなどの利用料金が家族が亡くなったあとも請求され、すぐには解約できないというケースです。

 国民生活センターは11月20日、注意を呼びかけました。

 「オンラインで契約したサービスを残したまま亡くなることがこれから増えていく。残された家族がトラブルに遭わないように、今から対策するよう心がけてほしい」(国民生活センターの担当者)


 サブスクやネット銀行、NISAなどの投資が生活に浸透しつつある中、「デジタル遺産」のトラブルを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。

 「パスワードの管理です。万一の時誰かに渡せるように手段を講じておく」(北海道行政書士会札幌支部 長島靖子さん)

 対策として有効なのは、エンディングノートにスマホのパスワードなどを記載することや、パスワードを書いた紙を封筒に入れて保管すること。契約サービス名・ID・パスワードのリスト化を行うことです。

 「若い方であっても年齢に関係なく、自分に何かがあった時、万一の時にオンライン上の情報やデータをどうしてほしいのか考えておく必要がある」(長島さん)

 親族が集まる機会が増える年末年始。

 家族の間で「デジタル遺産」について一度話し合ってみるのもいいかもしれません。

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