大阪で老舗文具メーカー「大栗紙工」を経営する大栗佳代子さんは2019年、発達障害がある人たちのための新しいノート作りを始めた。
「セミナーを受けに行ったとき、講師の先生から『発達障害の人が使いやすいノートがないから我慢して使っている』という話を聞きました。
衝撃というかショックだったので、心地よく使ってもらえるノートを作れないかなと思いました」
光の反射を抑えシンプルに
大栗さんはまず、発達障害の当事者約100人に聞き取り調査を行った。
すると、ノートに反射する光がまぶしくて文字が書けなかったり、罫線が見づらく日付欄など余分な情報があるものは使いにくいことがわかった。
試行錯誤を重ねて8カ月。
完成した「mahora(まほら)ノート」は、光の反射を抑え、罫線を色分けするなどしてシンプルで目に優しい作りにした。
これまでは、どの行に字を書いているのかがわからなくなっていたと話す元村さんは、まほらノートとの出会いにうれしさで涙を流す。
「全然目がしんどくならない。浮き出て大事なところがちゃんと見えます。
私たち少数派の意見を取り上げて商品にしてくれることなど考えたこともなかったので感動しています」と話す。
大栗さんは「困っていることとか、全ての声を実現することはまだできていませんが、できることから少しずつやっていきたいと思っています」と語る。
大栗紙工
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