「ポイ活」の何がお得?
いまやポイ活の内容は非常に幅広い。クレジットカードやキャッシュレス決済でポイントを貯めるポイ活もあれば、アンケートに答えてポイントを貯めるもの、買い物でもらったレシートをアプリにアップしてポイントをもらうもの、歩数計測でポイントを獲得できるウォーキングアプリなど、バラエティに富んでいる。
さまざまなポイ活があるが、maoさんのように“ポイ活の達人”と呼ばれる人たちが、いま積極的に行っているのが「ポイントサイト」を最大限に活用したポイ活だ。
「まずはポイントサイトに登録をして、そこを経由で商品を購入したり、サービスに申し込んだりしてもらえるポイントを集めています」
お小遣いサイトとも呼ばれるポイントサイトにアクセスすると、数多くの広告案件が並んでいる。広告案件には会員登録やクレジットカードの契約、証券口座の開設などいろんな種類があり、それらの案件を利用することでポイントがもらえる仕組みだ。
ポイントサイトの1つ、ポイントインカムのトップ画面(写真:maoさん提供)余談だが、ポイ活をしている人同士で使う“案件”という言葉は、ポイントサイトに掲載されている広告のことを指す。「お得な案件があるよ」とか「おすすめの案件はこれ」などといった感じだ。
YouTuberで“案件”といえば、動画内で企業から依頼された宣伝をすることを指すので、言葉の使い方の違いは興味深い(本記事内でも“案件”とは、ポイントサイト上の広告案件のこととする)。
話を戻して、ポイントサイトはネットで買い物をする際にそのサイトを経由することでポイントが貯まる仕組みにもなっている。これは「自己アフィリエイト」とも呼ばれているものだ。
「私はお米を買うときに、楽天から直接買うのではなく、ポイントサイトを経由して楽天にアクセスして購入します。そうするとポイントサイトで買い物した金額の1%のポイントがもらえるうえに、楽天でのポイントももらえる“ポイントの二重取り”ができます」
お得な“案件”を取り逃さないコツ
ポイントサイトを利用したポイ活で、もうひとつ大きな柱になっているのが友だち紹介でポイントがもらえる「ダウン報酬」と呼ばれているものだ。
「私のブログやSNSから広告利用してくれた人がいると、紹介者である私にもいくらかポイントが入るケースがあるので、情報発信活動はポイ活にも一役買っています」
こうしてポイントサイトで獲得したポイントは、サイトに反映されて目に見えて増えていくのがわかるため、張り合いがあって楽しいそうだ。
「数字を追うのが楽しくて、ポイ活自体が楽しいから続けられています。私がポイ活を始めたときは、愛用していたオルビスという化粧水をポイントサイト経由で買うところから始めました。やってみるとお得だし楽しくなってきて、『今度は無料会員登録でポイントがもらえる広告も利用してみようかな』とか、どんどんはまっていきました」
ただし、注意点もある。
「ポイントをもらえる条件や注意書きはしっかり読むようにしています。文字が小さく見えづらいものもあるので注意が必要です。また、個人情報を登録するものが多いので、そこは調べて内容をしっかり見極めてから、あとは自己責任でやるしかありません。情報が少ないときは、私はポイントサイト側に気になる点を問い合わせて確認するようにしています」
どんな時間にポイ活をしているのだろうか。
「家事の隙間時間を利用してやっています。掃除が終わった後にポイントサイトをチェックしたり、レンジをチンしている間にエントリーしたり。考え方は人それぞれですが、私の場合は割とタイムパフォーマンスを意識したポイ活をしています。なので、時間のかかるアンケートはやりませんが、アプリのインストールだけでもらえるポイントなら10円分と金額が少なくてもやりますね」
ポイントサイトでは、お得な広告は切り替えが早かったり、上限に達し次第終了してしまったり、いち早く取り組まないと乗り遅れるものもある。こうしたお得な情報を取り逃さずキャッチにするにはどうしたらいいのか?
「私の場合は、定期的にポイントサイトの新着をチェックしています。そして、気になる広告はお気に入り登録しています。そうすると、その広告の獲得ポイント数が上がったときに通知が来るようになっているので、いいタイミングで応募できます。あとは、Xやインスタでポイ活に関する発信をされている方がたくさんいらっしゃるので、フォローして情報収集しています」
ポイ活をする人たちの間で、特に意識しているのが企業の決算月だという。
「企業の決算月になる12月や3月は特に広告が増え、ポイントが多くもらえる案件が出やすいのでしっかりチェックするようにしています。クレジットカードの案件もいつもよりも条件が良くなっていたりします」
「1ポイントを1円以上の価値で使う」のが達人の技
そのようにして1つのポイントサイトで累計645万円分も獲得したmaoさんだが、得たポイントを失効させずにきちんと活用するまでが「ポイ活」の勘所だと話す。ポイ活初心者は、ポイントがあることを忘れてそのままにしてしまったり、有効期限を切らしてしまっていたり、なんて失敗もあるかもしれない。
いろんなポイントサイトに登録しているポイ活の達人クラスになると、数多く登録しているポイントサイトの把握や有効期限の管理も大変そうだ。達人の中には、「ポイ活ノート」を作って、案件利用日、ポイントの付く日、エントリーが承認されたかどうか、ポイントの有効期限など、必要な情報を書いて把握している人もいるという。
maoさんのおすすめの管理方法はポイント交換サイトの「ドットマネー」を活用すること。これは、いろんなポイントサイトで得たポイントを一つにまとめられる“お財布”のようなサイトで、ここで集めたポイントは手数料無料で現金やギフト券、電子マネー、マイルなどに交換できる。交換先も豊富に用意されており、手数料が無料であるため、使い勝手のいいサイトだそう。
「ドットマネーに一旦貯めて、好きなポイントに交換して使っています。ただし、ここに貯めておける有効期限は6カ月までなので、そこをしっかり把握して期限内にどこに振り分けようか考えます」
振り分ける際に、ポイントの価値を高めるようにするのが肝だという。
「おすすめは『ウエル活』で使うことす。薬局のウエルシアでは、毎月20日にWAONポイント※を用意して買い物に行くと、ポイントの1.5倍分の買い物ができる『ウエルシアお客様感謝デー』をやっています。例えば、1万ポイントあれば、1万5000円分の買い物ができます」
※今までTポイントの活用法として有名だったウエル活だが、Tポイントは2024年4月22日にVポイントと統合された。これからは、VポイントをWAONポイントに変えることで、今までと同じようにウエル活を楽しめる。
初心者でもトライしやすい「ウエル活」。maoさんも度々、その極意を発信してきた(写真:YouTube「まおのポイ活お得channel」より)「私は毎月のウエル活で2万ポイントくらい使っているので、3万円分買っていることになり、1万円分もお得です。こうして実際のポイント以上の使い方ができる、つまり1ポイントを1円以上で使えるところがポイ活の醍醐味であり楽しさですね」
ウエル活以外にも、ドットマネーが行うキャンペーンなどで、お得なレートでポイントを交換できるタイミングがある。maoさんのようなポイ活の達人たちは、そういったタイミングを利用してポイントの価値を最大限に高めてから使っている。
お得な情報を逃さずキャッチして、適切なタイミングでポイントを交換して使う。こうした一連の情報収集と管理能力がポイ活で得する秘訣なのかもしれない。
家族旅行や映画鑑賞も「ポイ活」でお得に
ポイ活で貯めたポイントは、ウエル活で生活必需品の購入に充てて節約するだけでなく、楽しく使うことも大切にしているという。
「子どもたちを楽しませることに使いたいですね。旅行や映画もポイ活でお得に楽しんでいます」
航空券や宿の予約もポイントを最大限に活用。Vポイントをソラシドエアのマイルに交換して特別航空券を取得したら、沖縄旅行(神戸空港から沖縄空港)が家族4人往復2万4000円で行けたという。家族1人当たり、片道3000円だ。
ポイントを使って北海道に旅行した際には、家族4人で往復9600円だった(写真:公式X @mao_otk_twより)家族みんなが好きな映画も、ポイントサイトで発行したクレジットカードの優待を活用して楽しんでいる。
イオンシネマの優待で、Sサイズのドリンクとポップコーンの引換券がついたシネマチケットが1400円で利用できるという。映画は大人1人1800円、Sサイズのドリンクは320円、ポップコーンは420円なので、普通に購入したら2540円のところを、1140円もお得に利用できるのだ。
映画鑑賞だけの場合でも、1000円で利用できる特別鑑賞チケットがあり、大人なら800円お得になる。maoさんの家族は月1くらいのペースで通うので、活用するかしないかの差は大きい。
さらに驚くのが、「ポイ活で買った一番大きなものは家ですね。ただ、いま住んでいる家ではなくて、夫がDIYして遊ぶ用の中古の家です。200万くらいだったのですが、ポイントサイトのポイントを現金に交換して買いました」という。
maoさん一家の家計簿を拝見
そんなmaoさん一家の月の家計簿を見せてもらった。
【maoさん一家1カ月の家計簿】家賃 75000円
水道光熱費 30000円
通信費 16000円
食費 60000円
車関連費 10000円(保険)
日用品 10000円(ウエル活除く)
娯楽費 50000円
習い事 33000円
保険 50000〜60000円(車関係除く)
つみたてNISA 50000円
貯金 10000円
計 39万4000円〜40万4000円
娯楽費や習い事にもお金をかけており、どの項目もぎりぎりまで削った“節約家の家計簿”といった感じではない。maoさん自身も節約している意識はないという。一方で育ち盛りの子どもがいて食費6万円は、かなり抑えた金額になる。2022年度の総務省の家計調査によると、4人世帯の食費平均月額は8万8108円だ。
この連載の一覧はこちら「これはポイ活、ウエル活のおかげですね。お米や冷凍食品、調味料は大体ウエル活で買っています。でも私は外食も好きで、ウエル活で節約を頑張った分は外食も楽しんでいます。もちろん外食ではポイントを活用したり貯めたりしています。趣味のポイ活が結果的に節約につながっていますね」
次週公開の後編では、ポイ活であらゆるものをポイントで購入したmaoさんが後悔した買い物と、買ってよかったと思う買い物について紹介。また、元々は浪費家だったmaoさんがポイ活を楽しむようになったきっかけについても伺っていく。
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