スマホで音楽や動画を気軽に楽しめるなど、定額制サービス=サブスクは様々な分野で広がっている。最近は保育園や幼稚園でおむつやエプロンのサブスクを導入するところが増え、保護者にも好評だという。

送り迎えの荷物が減ったと好評

長野県中野市のひらおか保育園。

0歳から3歳の「未満児さん」のお昼寝が終わると保育士はおむつ替えに忙しくなる。

おむつ替え
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サイズは違ってもどれも絵柄は同じ。

実は全て「サブスク」のおむつだ。

保育園が空き部屋にストックしている。

おむつとおしり拭きが使い放題 月額2508円

保育園の運営や子育て支援を行う「BABY JOB」(大阪市)のサブスクリプションサービスに参加していて、園児1人あたり月額2508円でおむつとおしり拭きが使い放題になる。

同社が「手ぶら登園」のキャッチコピーで各地で展開していて、ひらおか保育園では2月から無料の実証実験中だ。

園長の町田理恵さんは「保護者の負担にならないよう、忙しいお母さんたちやおうちの方のためになると始めた」と話す。

ひらおか保育園・町田理恵園長

中野市内の公立保育園では園児の名前を書いた紙おむつを1日5枚、持参することになっているが、「サブスク」にすると、その手間がなくなり枚数も気にせずに使える。

2024年度からは使用済みのおむつを園で処分するようにしたため、送り迎えの際の荷物も減った。

子どもを迎えにきた1歳の園児の保護者は「朝の時間は楽だと思いました。いちいち名前も書かなくて良いので」、2歳児の保護者も「荷物が減るのは、とても助かる」と話す。

園が行ったアンケートでは利用した保護者29人全員が「満足」と回答し、理由についても「荷物が減った」、「朝、余裕ができた」と好評だ。

アンケート

保育士にもメリット

保育士も「おむつに書かれた名前をその都度確認しなくていいので、とても具合がいい」とメリットは大きいと話す。

おむつを間違える心配が無くなり、効率良くはかせることができるようになったという。

効率良くはかせることができ、保育士にもメリット

気になるのは料金 月額2508円

園は来年度から本格導入する予定だが、保護者が気にするのは月額2508円という料金だ。

取材した1歳児の保護者は「金額がどうかなと思って考えている。もう少し安くなればいいかな」、2歳児の保護者は「来年度から2歳児クラスになると使うおむつはどんどん減るので今の料金だと高いかな」と話していた。

保護者は

一方、おむつを使う2歳児の他にも2人の子を通わせている保護者は「3人分準備するのが手間なので1人でも省ければ楽。家に帰ったらやる時間が全然ないので、手間が省けるのはありがたい。(値段は?)全然気にならない」と話していて、メリットとデメリットを各家庭で判断することになる。

使い捨てエプロンのサブスク

すでにサブスクが定着している園もあり、長野市の信濃ひまわり幼稚園はおむつのサブスクを2年前に導入し、園児のほぼ全家庭が利用している。

2024年度から使い捨てエプロンのサブスクも導入していて、汚れを拭くウェットシートと合わせ、料金は月額877円だ。

エプロンのサブスク

保護者は給食と1日2回のおやつに、タオルなどで作ったエプロンとお手拭き用タオルを3セット持参することになっているが、今は2~3割がサブスクを利用している。

信濃ひまわり幼稚園の成田由美保育主任は「毎日のお洗濯が大変だと聞くこともありますし、お母さんたちは頑張ってお仕事されているので少しでも手助けできれば」と話す。

エプロンのサブスク月額877円

保育園・幼稚園で広がるサブスク

サービスを提供する「BABY JOB」によると、2019年におむつ、2023年4月にエプロンのサブスクを始めると急速に広がり、現在、全国で4900施設が利用している。

車での送り迎えが多い地方は、都市部ほどの需要は無いということだが、長野県内でも2024年度に新たに5施設が導入し合わせて17施設になる。

信濃ひまわり幼稚園のお昼

他にも保護者の負担を減らす工夫として、お昼寝用の簡易ベッドを園が一括で購入し、月額300円で利用してもらっている。

敷布団の持ち帰りで苦労する保護者の姿を見て2023年度から導入した。

お昼寝用の簡易ベッド

成田さんは「雨の日に(きょうだい)2人分の布団とかを運ぶために行ったり来たりするのを見てどうにかならないのかと。抱っこして荷物も持ってというのは大変だったと思うので、負担が減ってよかったと思う」と話す。

布団カバーと掛布団は週末に家庭に持ち帰ってもらっているが、敷布団に比べれば楽になったと好評だ。

おむつとエプロンのサブスクに加えベッドも利用すると月額3685円になる。

簡易ベッドでお昼寝

保護者「負担が減った」

全て利用している1歳児の保護者は「荷物は帽子だけ。ちょっと前までは考えられなかった、想像もしなかった制度ですごくありがたい」、同じく1歳児の保護者で上に3人の子がいる保護者は「(上の子の)タオルの洗濯がすごく嫌で地獄の毎日でした。今は使い捨てにしてもらって負担が減ってとても助かっています。お金がかかっても楽になる方が良いです」と話す。

布団だけの利用という2歳児の保護者は「敷布団がなくなって、重たい、かさばるという困っていたところが一番楽になりました。私はおむつは家から持ってきた方が安いかな。タオルも一緒に洗濯しちゃえば問題ないので、いいかな」と話す。

サービス全利用で荷物は、帽子だけ

行政も子育てに伴う負担を減らそうとしていて、使用済みおむつの「持ち帰り」を止める流れが広がっている。

衛生面も考慮して、国は2023年1月から「園での処分」を推奨している。

「BABY JOB」が全国の状況を調べたところ、長野県は2023年4月の時点で使用済みおむつの持ち帰りを半数以上の42市町村が続けていて全国ワースト2だったが、2024年4月には13市町村に減っている。

使用済みおむつの持ち帰り率(公立保育園のある市町村)

子育てに苦労はつきものだが、少子化が進む中、これまでの「当たり前」を見直し子育て家庭に寄り添おうとする意識がサブスクを広めている。

信濃ひまわり幼稚園の成田由美主任保育士は「保護者の方の力になれたらいいなっていうのもあるので、改善できるところは直していけばいいかなと思うし、あとは気持ちの方で、しっかり寄り添っていければ」と話す。

(長野放送)

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