あっさりしたバニラアイスを包むのはチョコレートとザクザクした食感のクッキークランチ。発売当時は珍しかった西洋風で高級感ある見た目と味が愛され、誕生から今年で55年を迎えた。
佐賀県小城市の竹下製菓が製造するアイス「ブラックモンブラン」は、3代目社長の竹下小太郎さん(故人)が考案し、1969年に発売した。フランスへの経済視察旅行でアルプスの最高峰モンブランを見学した際、「この真っ白い山にチョコレートをかけて食べたらさぞおいしいだろう」と思いついたことが商品名になった。
時代に合わせたおいしさを求めて研究開発し、バニラアイスやチョコレートの原料を変えるなど当初のレシピから改良を続ける。子供心には、食後の棒で賞品がもらえる可能性のある「あたりバー」も魅力だ。2020年には、食品卸大手「日本アクセス」が主催する消費者投票ランキング「フローズンアワード」で、アイスクリームご当地商品部門の全国1位に輝いた。
年間約2000万本を生産。JR佐賀駅近くのレストラン「グリルタケシタ」で、できたてアイスを使った「ブラックモンブランソフトクリーム」を提供するなど企画商品も多彩だ。
小太郎さんの孫にあたる竹下真由・現社長は、長く愛される理由を「思い出の味としてストーリーとともに楽しめるからでは」と語る。商品誕生50年の節目には、真由社長がフランスに飛んでモンブランを自ら撮影。その写真が現在のパッケージに使われている。「おいしい物は人をプチハッピーにする力がある。一度食べていただき、アイスのレパートリーに加えてもらえたら」と話す。【井上和也】
竹下製菓
1894年創業。1927年に竹下商店設立。56年から現社名。78年に本社を佐賀市から小城市に移転。ブラックモンブラン140円、スペシャルブラックモンブラン173円、グリルタケシタで提供するブラックモンブランソフトクリーム450円(いずれも税込み)。同社(0952・73・4311)。
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