コロナ禍前の2019年度に海外への修学旅行を実施していた群馬県内の公立高校7校のうち、24年度も行う予定の高校は1校にとどまることが毎日新聞の調べで判明した。円安の進行により海外への旅費が高騰したことが主な要因となっている。【庄司哲也】
コロナ禍前7校
県教育委員会によると19年度に海外への修学旅行を実施した公立高校は、前橋南▽前橋西▽高崎北▽吉井▽高崎商▽中央中等▽利根商――の7校。渡航先は台湾が4校、シンガポールが3校だった。このうち、24年度に引き続き海外修学旅行を予定しているのは中央中等の1校だけになっている。
前橋南はコロナ禍前に台湾への修学旅行を実施していた。国内への切り替えについて同校は「費用の高騰が大きな理由の一つ。円安などで海外への旅費が約1・5倍になっており、保護者に大きな負担を強いることはできない。運送業の『2024年問題』などで国内のバスの移動費も上昇している」とする。
高崎商は、グローバルビジネス科の生徒だけが海外で実施していたため、校内の一体感を高めることも切り替えの理由の一つとしつつ、「円安により海外渡航費が高騰しており、生徒1人当たり12万円の旅費の範囲で実施するのは困難」としている。
一方、中央中等はコロナ禍で中断していたシンガポールへの修学旅行を23年度から再開している。同校は「修学旅行は総合的な探究の時間の一環として位置付けており、現地の企業に約束を取って赴くということも行っている。学びと直結し、国内では代替がしにくい面がある。以前と比べて費用は10万円は高騰している」という。
円安などによる海外渡航費の高騰を巡っては、伊勢崎市が12年度から実施してきた中学3年生を対象とした米国での海外語学研修を24年度は中止すると決定している。
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