特集は「青い卵」です。手掛けているのは3年前、脱サラし、長野県塩尻市で養鶏場を営む男性。地元の協力を得てエコな「エサ」にこだわって生産しています。「青い卵」は、男性の新たな人生を切り開いてくれたようです。

あたたかいご飯に、新鮮な卵を乗せたTKG・「卵かけご飯」。


こちらはふわふわ生地のロールケーキ。

どちらも殻が青みがかったこの「青い卵」を使っています。

生産しているのは塩尻市北小野の「しばた養鶏」。

ニワトリたちは鶏舎の中を歩き回ったり、砂浴びをしたり。

約170羽がのびのびと過ごしています。

※衛生面に配慮して撮影しています


営んでいるのは柴田勝さん(48)。

慣れた様子ですが、実は養鶏を始めてまだ3年ほどです。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「できるだけ自然に近い形にして飼ってあげたかった」

ニワトリがストレスなく過ごし、いい卵を産めるよう試行錯誤の日々です。

諏訪市に住む柴田さん。

以前は廃棄物処理の会社に勤務するサラリーマンでした。

管理職で、休みも安定していましたが、次第に組織で働くことに窮屈さを感じるように。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「コロナが始まった時に、自分の生き方を見つめ直してみたときに、やはりお金を残すっていうことだけが、どうしても自分の人生観でなくて」

養鶏の道に進むことになったのはー。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「退社日が決まる2週間前くらいですかね。『卵だ!』って、稲妻が走るじゃないですけど」

テレビや知人から見聞きした「卵かけご飯」の話題に強く引かれたのが切っ掛けでした。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「一から携われる、ヒヨコから販売まで養鶏ってできるのが一つの魅力。正直、人生で初めてぐらい、本当にこれやってみたいっていうエネルギーは、生きてきた中で一番強かった」


即、行動に移した柴田さん。

2021年に退社すると知人の紹介で使われなくなった水田を借り、退職金をはたいて鶏舎を建設。

本やインターネットの情報を頼りに、ほぼ独学で、ひよこを育てます。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「エサが不十分だとけんかが絶えなかったりとか、亡くなってしまう子がいたり、本当に悲しい思いもしながらも、それがやっぱり今となると糧になった」

飼育数やエサの質・量を調整しながら飼育して2年。ようやく納得できる卵が取れるようになりました。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「これが産んでそんなにたっていない、青い卵。いい大きさなので、元気」

一般的な白い卵と比べると、一目瞭然。淡い青色をしています。


「アローカナ」という品種の卵です。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「幸せな青い卵っていうのを僕がつくって、それを皆さんに提供できたら、一番ハッピーかな」

残りのニワトリの品種は「もみじ」。

こちらは赤い殻の卵です。

中身はほぼ同じで、どちらも淡いレモンイエローの黄身に、弾力のある白身になっています。


自慢の卵を試食させてもらいました。

(記者リポート)
「こちらの卵を卵かけご飯でいただきます。卵の香りが本当に濃すぎずに爽やか。卵白、白身の弾力がちゅるっと」

しばた養鶏・柴田勝さん:
「卵を苦手な人も、うちの卵は食べれらるという声もある」

卵の質を左右するのが「エサ」。柴田さんにはこだわりがあります。

出かけた先はー。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「こんにちはー。また、エサもらいにきました」

昼の営業を終えた近くの食堂です。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「こんな感じ。きょうもいっぱいです」

食べ残しや調理で出た「残さ」を譲ってもらいます。

タイガー食堂・田中良太さん:
「捨てるのしのびないなーっていうのもなくなって、『ありがたい』っていうと、単純にやっぱり『すごいな』って(笑)」

肉や魚など動物性タンパク質が混じる「残さ」は貴重な栄養源。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「これが米ぬか。さっきもらってきたのを、少しずつ混ぜて」

米ぬかの他、酒蔵やブルワリーから譲ってもらった「酒かす」や「麦芽」も混ぜて、オリジナルの「発酵飼料」を作ります。

農家からもらった野菜もエサに。

地域で出る不要なものをエサに利用。「コスト削減」と「循環型」を実現させています。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「(いい卵のためには)もうエサですね、7割8割。いい食欲なので、どんどんなくなる」

卵は、地元の道の駅などで販売。

愛知から:
「珍しいので、家族が卵好きなので、TKGでガツッと」

市内から:
「色も初めて見るし、おいしそうだなと」

愛知から:
「珍しいので、家族が卵好きなので、TKGでガツッと」

市内から:
「色も初めて見るし、おいしそうだなと

各地のイベントにも出かけ販路拡大にもつなげています。

ゆで卵を購入:
「大好きでいつも買わせてもらうが、(ニワトリが)自由だし、好きなように生活してるのっていいなって」

柴田さんの卵を高く評価しているのが松本市の洋菓子店「アトリエブレ」。

こちらのロールケーキに使用しています。


アトリエブレ シェフパティシエ・栗田健志郎さん:
「卵が主役。卵の特徴を生かした商品を作りたいと考えていたんですけど、最終的にシンプルなロールケーキ」

作っている様子を見せてもらいました。

まず卵黄と卵白を分けます。

アトリエブレ シェフパティシエ・栗田健志郎さん:
「卵白のコシが強いので、取りづらいんですよ。通常の卵よりもしっかりした卵白」

卵白に砂糖を加えながら泡立て、メレンゲに。

持ち上げても動かないほどに泡立てたら卵黄と混ぜます。


卵白のコシの強さを生かすため、使用する小麦粉は少な目です。

型に流してオーブンで15分ー。

ふんわりと焼きあがりました。

冷ましてから、甘さ控えめの生クリームを広げて、巻きます。

弾力も楽しんでもらうたえおよそ4センチ幅にカット。

できたてのケーキを試食―。

(記者リポート)
「しっかり厚みのあるロールケーキをいただきます。(たべて)うーん。ふわっふわのくちどけです。優しい卵の風合いがふーっと口の中に広がりました」

販売は3月からですが定番商品になりそうです。

パティシエ:
「あんなに鶏たちが自由に育っている環境ってあまりないのかなと。卵が違うとこういうふうに違うと分かっていただけると一番いいかなと思う」

養鶏を始めて3年。評判が広がりつつある「しばた養鶏」の卵。

青い卵が幸せを運んでくれたのでしょうか。

しばた養鶏・柴田勝さん:
「やっぱり一からやって苦労もした分その上の喜びだったり、得られるものってある。品質だけを落とさずにいく。正直、終わりはないと思っているので、日々追求」

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