岸田文雄首相は26日午後、ソウルで韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談する。27日の日中韓首脳会談を前に、北朝鮮の「非核化」への協力を中国に求める方針を確かめる。地域の安定に向けて良好な日韓関係を維持する姿勢を強調する。
日韓首脳の会談は2023年11月に米サンフランシスコで開いて以来。韓国は4年半ぶりに再開する日中韓サミット(首脳会談)の議長国で、事前に日韓の方向性を擦り合わせる狙いがある。
北朝鮮による核・ミサイル問題について日韓、日米韓の連携の重要性を確認する。中国、ロシアが北朝鮮と協力を深めていることを念頭に、中国の李強(リー・チャン)首相には地域の安定の重要性と北朝鮮の「非核化」を働きかける。
中国人民解放軍による台湾周辺での軍事演習など、緊張が増す東アジア情勢に日韓で連携して対応していくと申し合わせる。
日韓は元徴用工問題などで関係が悪化していたものの、岸田・尹政権下で改善させた。23年に首脳が相互往来する「シャトル外交」が復活した。首脳会談では25年の国交正常化60年に向けて良好な日韓関係を維持する方策を話し合う。
日韓には懸念もある。元徴用工訴訟で日立造船が裁判所に預けた供託金が原告側に引き渡されたことが2月に明らかになった。日本政府はこの対応に「厳重な抗議」をした。
日本の総務省が通信アプリの情報漏洩を受けてLINEヤフーに韓国IT大手ネイバーとの資本関係見直しを求めたことも韓国内で問題となっている。企業活動への政府の介入だとメディアが批判し、これを韓国野党が尹政権の対日姿勢への攻撃に利用した。尹政権は対応に苦慮している。
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