木原稔防衛相は1日、シンガポールでのアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で演説した。ロシアによるウクライナ侵略や中東、北朝鮮などでの情勢の不安定化を踏まえて「地域をまたいだ同時多発的な危機や偶発的衝突が起きるリスクは近年大きく高まった」と強調した。
海洋進出を強める中国を念頭に「東シナ海、南シナ海では力や威圧による一方的な現状変更やその試みが続いている」と指摘した。「台湾海峡の平和と安定も重要だ」と主張した。
北朝鮮を名指しして「国連安保理決議に違反して弾道ミサイルなどの発射を重ねている。地域と国際社会の平和と安全を脅かすものだ」と非難した。
各地でのサイバー攻撃や人工知能(AI)を活用した偽情報の拡散などを例示して「平時と有事の境目は曖昧になっている」と語った。
日本の防衛力強化や同盟国・同志国との連携は「地域の緊張を高めるものではない」と説明した。「力による一方的な現状変更を抑止し、 望ましい安全保障環境を創る。国際法違反の侵略や武力による威嚇を受けている国を支援する」と述べた。
抑止力の強化へ情報収集・警戒監視・偵察(ISR)を重視する意向を示した。
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