改正子ども・子育て支援法が5日の参院本会議で、与党の賛成多数により可決・成立した。子育て世帯への支援策として児童手当を抜本的に拡充する。所得制限を撤廃し、第3子以降は現状の倍となる月3万円を支給する。
- 【関連記事】少子化対策法案とは 誰でも保育所、高校生にも児童手当
岸田文雄首相が2023年1月に打ち出した「異次元の少子化対策」の実施に向けて、年間3兆6000億円を投入する「加速化プラン」の施策を実現する。このうち1兆円の財源を確保するため、公的医療保険料に上乗せする新たな支援金制度を26年度に創設する。
子育て世帯を経済的に手厚く支援するのが柱だ。少子化対策の強化により、子ども1人あたり0〜18歳までの間に、平均約146万円の給付が増えると見込む。従来の児童手当と合わせて平均352万円程度の給付になる。
児童手当の拡充は10月1日の施行を予定する。財源を活用して児童手当は12月支給分から所得制限をなくす。支給対象の年齢をこれまでの15歳から18歳まで延ばす。支給回数は年3回から年6回に増やす。
14日以上の育児休業を取得した夫婦には、最長28日間は実質的な手取り収入が減らないように育児休業給付を引き上げる。
妊娠・出産時に10万円相当を支援する給付金の制度化や、親が働いていなくても保育を利用できる「こども誰でも通園制度」の創設も盛り込んだ。
新たな財源を確保するため支援金制度は公的医療保険料と合わせて個人や企業から徴収する。全体で26年度におよそ6000億円、27年度に8000億円、28年度に1兆円程度を見込む。
個人の負担額は加入する公的医療保険や収入で変わる。こども家庭庁の試算によると、会社員などの被用者保険の場合では、年収600万円の人は26年度に月額600円、27年度に同800円、28年度に同1000円が徴収される。28年度まで段階的に負担額は増える。
改正案は付則に、歳出改革などの範囲内で支援金制度を構築すると明記した。政府は社会保障の歳出改革と賃上げを同時に実現することで、国民に「実質的な負担を生じさせない」と説明する。
【関連記事】
- ・子育て支援法改正案、参院委で可決 5日にも成立へ
- ・子育て支援金、あなたの負担額は? 加入保険別に一覧
- ・子育て支援法案、首相「実質負担生じず」 参院審議入り
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。