日本と英国、イタリアによる次期戦闘機の共同開発に向け、企業との契約や輸出管理を担う政府間機関「GIGO(ジャイゴ)」を設立する条約が5日、参院本会議で可決、承認された。GIGO本部は、2024年度中に英国に設置。岸田政権は3月に武器輸出ルールを緩和し、日本から第三国への輸出を解禁しており、GIGOを通じた輸出も視野に入る。  自民、公明両党と立憲民主党、日本維新の会などが賛成。共産党、れいわ新選組は反対した。立民会派に所属する社民党議員2人は退席した。

◆殺傷兵器輸出と平和憲法の整合性は?

 GIGOは、各国が個別に行っていた企業との契約締結を一本化し、開発・生産計画の管理など業務の効率化を図る。初代トップは日本人が就く予定。次期戦闘機は、仕様や性能を今後5年程度で確定させ、2035年の配備を目指す。林芳正官房長官は5日の記者会見で「英伊と連携しながらGIGOを通じて次期戦闘機の共同開発を着実に推進していく」と強調した。  条約には輸出促進が明記されており、国会審議では、典型的な殺傷兵器である戦闘機輸出と憲法との整合性が問われた。

次期戦闘機のイメージ(防衛省のホームページより)

 共産の山添拓氏は4日の参院外交防衛委員会で、「2015年に当時の内閣法制局長官が『武器の輸出を制限するのは国際紛争の助長を回避するため』と(国会)答弁している」と紹介。政府の立場に変更がないか認識をただした。  外務省の河辺賢裕総合外交政策局長は「個別の案件ごとに移転先を厳格審査し、移転後の適正管理も確保することによって平和国家の理念を堅持していく」と述べ、変更の有無に直接言及しなかった。山添氏は「政府の方針を変えたとも言わず、紛争助長の認識がないのなら、憲法に基づく平和国家の立場を投げ捨てるものだ」と指摘した。(川田篤志) 

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