奈良市議会の森田一成市議(自民党)は12日、10日の市議会6月定例会で舌がんの治療中であることを理由に、仲川げん市長に辞職を求めた趣旨について、「体を大事にしてほしいという思いだった」と報道陣に説明した。

 森田市議は10日に自民党の代表質問に立ち、かつて自身の妻ががんを患ったことに触れ、「2、3週間で治る病ではない。市長は公務優先から病気療養にシフトされ、徹底的に病を治すことにかじを切るべきだ。大英断となる市長の職を辞することについて熟考されたい」と述べた。

 仲川市長は直後の答弁で「私も含め、全国の患者からすれば希望を打ち砕かれるような思い。病気であれば職を辞すべきだという声は、現役生活を続けながらがんと向き合っている方がおられるなかで大変残念な指摘だ」と反論した。

 森田市議は12日、報道陣に「市長には35万の市民のかじ取り役として重責を感じてほしかった」とし、「一般のがん患者やその家族に対するメッセージではなかった」と述べた。発言内容について、議事録からの削除や撤回をする考えはないという。

 仲川市長は今年3月に舌がんの手術を受けた。5月に追加治療のために在宅勤務し、今月から通常公務に復帰した。(富岡万葉)

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