兵庫県の幹部(当時)が斎藤元彦知事らを内部告発した文書をめぐり、県議会は13日、告発内容の真偽をただす調査特別委員会(百条委員会)の設置を決めた。同県議会での設置は1973年以来、51年ぶり。14日に初会合が開かれる。

 最大会派の自民党と、立憲民主党の議員らによる「ひょうご県民連合」は13日の県議会に、百条委の設置を求める動議を共同提案。賛成多数で可決された。維新の会と公明党は反対した。

 内部告発は「知事が企業などから贈答品を受け取っている」「知事から職員へのパワーハラスメント」など計7項目。3月、当時の西播磨県民局長が告発文書を県議や一部の報道機関に配った。

 この幹部は退職予定だったが、県はこの人事を取り消し、幹部から外した。さらに、人事課が調査し、「核心部分が事実ではない」「誹謗(ひぼう)中傷」と結論づけ、停職3カ月の懲戒処分とした。

 その後、「知事が昨年8月、視察した県内の家電メーカーからコーヒーメーカーを受け取った」と告発文書が指摘した点について、視察に同行した県産業労働部長が受け取っていた事実が判明した。

 県は県議会からの要望を受けて、第三者機関で調査すると表明したが、自民などは「実効性に疑問がある」と百条委の設置を求めた。

 斎藤知事は13日の県議会後、記者団に「(告発文書の)内容をきちっと調査すべきだという議会の判断で、大変重く受け止めている」と述べ、「しっかり対応し、出てきた課題を改善していきたい」と百条委に協力する姿勢を示した。

 内部告発した元幹部は「組織がより良くなるため、真実が明らかになっていくことを願っている」とコメントを出した。

 兵庫県議会での百条委設置は、73年7月の「PCB(ポリ塩化ビフェニール)対策特別委員会」以来となる。(高木智也)

兵庫県知事らをめぐる内部告発の経緯

3月中旬 兵庫県の幹部が、「知事から職員へのパワーハラスメント」など計7項目を指摘する告発文書を県議らに送る

27日 幹部の退職を取り消す人事が公表される

4月2日 知事が元幹部の処分に向けて調査実施を表明

16日 告発文書で「知事が昨年8月、視察した県内の家電メーカーからコーヒーメーカーを受け取った」と指摘する点について、視察に同行した県産業労働部長が受け取っていたことが判明

5月7日 県が元幹部を停職3カ月、県産業労働部長を訓告とする処分を発表

21日 県議会の要請を受け、知事が第三者機関による調査を表明

6月4日 最大会派の自民党と、立憲民主党の議員らでつくる「ひょうご県民連合」が百条委の設置議案の提案を決める

13日 県議会で百条委の設置決まる

百条委員会とは

 自治体の事務に関する疑惑や不祥事を調査するため、地方議会が地方自治法100条に基づいて設置する特別委員会。関係者の出頭や証言、記録提出を求めることができるなど強い調査権限を持つ。証言拒否や虚偽証言をした場合は禁錮刑や罰金刑を科すことができる。

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