G7首脳はウクライナ支援や中国の過剰生産問題への対処を協議した(イタリア南部プーリア州ファサーノ)

イタリア南部プーリア州ファサーノでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳宣言の要旨は次の通り。

▽ウクライナ

ウクライナへの揺るぎない支援を必要な限り続けることを再確認する。

制裁で凍結されたロシア資産を活用し、ウクライナに500億ドル(約7兆8千億円)の追加資金を提供するための「ウクライナのための特別収益前倒し(ERA)融資」を立ち上げる。年末までに融資を始める。

ロシアの軍事機構を支援する中国や第三国の金融機関などに制裁を科す。

▽ガザ

パレスチナ自治区ガザでの即時停戦、全ての人質の解放、2国家解決につながる和平に向けた確かな道筋へと導く包括的な交渉案の支持で一致している。

ガザ最南部ラファでの作戦で民間人が深刻な影響を受けることを懸念し、イスラエルに全面的な攻撃を控えるよう求める。

▽インド太平洋地域

法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋へのコミットメントを改めて表明する。インド太平洋地域の平和と安定が世界の繁栄の鍵だ。

台湾海峡の平和と安定の維持が国際社会の安全と繁栄に不可欠であることを再確認する。

東・南シナ海の情勢に深刻な懸念を表明し、力や威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対する。中国に対し、ロシアがウクライナ侵略を停止し、即時に撤退するよう圧力をかけることを要求。ロシアへの軍民両面で利用可能な物資の移転中止を求める。

北朝鮮とロシアの軍事協力の拡大を最も強い言葉で非難する。拉致問題を即時に解決するよう要請する。

▽エネルギー、環境

パリ協定と産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える目標へのコミットメントを堅持する。

東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を管理する日本のプロセスを支持する。

▽AI

生成人工知能(AI)のルール形成の枠組み「広島AIプロセス」を前進させることの重要性を認識する。

仕事の世界でのAI利用に関する行動計画を立ち上げる。

AIが軍事分野に与える影響と、責任ある開発と利用のための枠組みの必要性を認識する。

▽移住

紛争や貧困など移住の根本原因に対処する取り組みを強化する。密入国や人身売買で利益を得る犯罪組織のビジネスモデルを崩壊させる。

▽世界経済

補助金など産業政策がマクロ経済に与える影響を評価する。過剰生産能力の問題について、G7以外の国との対話を促進する。

▽軍縮・不拡散

核兵器のない世界の実現に向け、軍縮や不拡散の努力に関する取り組みを再確認する。

北朝鮮とイランによる核や弾道ミサイル開発への対処に引き続き取り組む。

(ファサーノ=共同)

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