非常時に自治体に対する国の指示権を拡大する地方自治法改正案は、18日の参院総務委員会で自民、公明両党や日本維新の会などの賛成多数で可決された。立憲民主党や共産党などは反対した。19日にも開かれる参院本会議で成立する見通し。

◆「指示は必要最小限に」付帯決議を採択

地方自治法の改正案を可決した参院総務委員会(千葉一成撮影)

 改正案は、大規模災害や感染症まん延時などに、国が自治体に必要な措置を指示できる内容となっている。しかし、指示権が発動できる基準は曖昧で、自治体との事前協議や調整を義務付けていない。国会の承認も不要で、政府が閣議決定だけで指示権を行使できる。国の不当な介入や、将来的に拡大解釈される恐れがあるとも指摘されている。  委員会採決に先立つ反対討論で、立民の小沢雅仁氏は「国が常に正しいとの前提で、一方的に指示に従う義務を自治体に課すものだ」と批判。非常時に「自治体の主体性や自発性を損ない、現場の的確な判断や対処を妨げかねない」と懸念を示した。  共産の伊藤岳氏は「国が『国民の安全に重大な影響を及ぼす事態』と判断する類型も基準も極めて曖昧で、さらに発生の恐れがある場合でも(指示権行使が)できる」と指摘。賛成した維新の高木佳保里氏も指示権の発動要件の曖昧さに言及し、指示権以外では目的を達成できない場合に限定して行使するよう求めた。  改正案の採決後、国から自治体への指示は必要最小限にとどめ、自治体の意見や実情を踏まえることなどを政府に求める付帯決議を採択した。(三輪喜人) 

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