都知事選を前に記者会見する、立候補予定者の(左から)石丸、小池、蓮舫、田母神の各氏(19日、東京都千代田区)

東京都知事選(20日告示―7月7日投開票)に立候補する小池百合子知事や蓮舫参院議員らは19日、日本記者クラブで共同記者会見に臨んだ。両氏とも政党の推薦は受けず、幅広い支援を募ると強調する。政治資金問題で逆風が吹く自民党との関係性や次期衆院選、2025年夏の参院選をにらみ構図づくりに腐心する。

主要政党のうち自民党と公明党は小池氏、立憲民主党と共産党は蓮舫氏を支援する。日本維新の会は自主投票、国民民主党は都連での小池氏の支持を決めた。

小池氏は共同記者会見で自民党との関係を問われ「都政を現実に進めていく上で(政権・与党との)連携が必要だ」と語った。保守層から出馬要請があったと触れ「幅広く、強く支援いただければと思う」と述べた。

自民党都連は小池氏の出馬表明に先がけて支援方針を決めた。4月の衆院東京15区補欠選挙など都内の選挙で敗北が続いており、小池氏の力を借りる必要があるとの判断だ。都連幹部は「次期衆院選へ東京での敗北の流れを止める」と訴える。

小池氏は都連の方針に「大変心強い」と謝意を示しつつも、支援を求めることはなかった。「政治とカネ」の不祥事を起こした自民党の存在は逆風にもなりかねない。自民党も小池氏の意向をくんで推薦を見送り、水面下で支援する。

「確認団体」と呼ばれる政治団体を通じ、政党色を薄めながらポスター作製やビラ配布などに取り組む案を検討する。小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」や、都議会で緊密に連携する公明党も自主的な支援に動く。

蓮舫氏は「小池氏=自民党」の印象を植え付ける戦略だ。5月27日の出馬記者会見で「自民党と二人三脚。自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットしてほしい」と訴えた。

蓮舫氏は19日も「私の思いは全く変わっていない」と明言した。「表なのか裏なのか水面下なのか、自民党が応援する人がいるならば、今の自民党に負けたくない」と発言した。

もっともその蓮舫氏もまたレッテルを貼られる。21年衆院選以来、立民は共産党と選挙で協力するたびに「立憲共産党」と自民党などから批判された。立民幹部は「小池氏に抱きつこうとする自民党は、蓮舫氏にとっての共産党だ」と語る。

東京15区補選でも両党の議員同士が街頭演説で並び、支持離れの懸念が広がった。立民は今回も蓮舫氏の公約発表を待たずに共産党が政策ビラを配布した行為を問題視した。

それでも18日の蓮舫氏の集会には田村智子委員長や小池晃書記局長が参加した。翌19日付の機関紙「赤旗」1面トップには詳報記事が載った。立民側は間合いの取り方に苦慮する。

連合を構成する産業別労働組合(産別)も支援方針が割れる。連合の地方組織の連合東京は19日、2020年の前回知事選に続き小池氏を支持すると決めた。

一方で立民議員に組織内候補がいる産別の本部や地方組織の幹部らは枝野幸男前代表や立民都連の幹部から支援要請を受けた。自治労や日教組など複数の産別やその地方組織が支援する方針だ。蓮舫氏が組合から支援を受けるのは初めてという。

蓮舫氏支援を決めた産別トップは25年参院選を見据えた対応だと説明する。「立民を代表する存在の蓮舫氏を応援しないのは組合員にとって分かりづらく、参院選との整合性がとれない」と指摘する。

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