候補者の第一声を聞く有権者ら(20日午前、東京都内)

任期満了に伴う東京都知事選が告示された20日、候補者らが街頭で演説に臨んだ。立候補者数は過去最多となり、少子化対策や防災、経済の活性化などで論戦を繰り広げる。都政の未来を誰に託すか。17日間の選挙戦が始まった。

3選を目指す現職の小池百合子氏(71)は20日午前10時半ごろ、東京都新宿区の選挙事務所で支持者らを前に演説した。「キーワードは『首都防衛』。都民のみなさまの命を守る、暮らしを守る」と述べ、続投へ支持を呼びかけた。

都知事選では2期8年続いた小池都政への評価が問われる。演説ではこれまでの取り組みを重点的に語った。待機児童の削減など具体的な数字を列挙し「この8年間で東京は確実に進化しております」と実績を強調した。

選挙戦で「東京大改革3.0」を掲げ、子育て支援策などを訴える。第一声をユーチューブでも配信。同日の街頭演説は予定していないという。

前参院議員の蓮舫氏(56)はJR中野駅前で「私はチャレンジャー。リーダーとなって東京を変えたい」と訴えた。公約には「もっと多様で生きやすく」を掲げ、都政の透明性を高める「ガラス張り」の行財政改革など7分野のテーマを列挙した。

演説では雇用の安定や教育費負担の軽減を進める考えを強調。性的少数者のカップルなどの関係を公的に証明する「パートナーシップ宣誓制度」を自治体と連携して利用しやすくすることも訴える。

参院議員を4期務め、出馬に伴って立憲民主党を離党。民主党政権時代に行政の無駄をチェックする「事業仕分け」で注目されるなど、高い知名度を生かして選挙戦に臨む。

前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)は都政の情報公開の強化やデジタル技術を活用した行政サービスの最適化などを政策として打ち出す。

午前10時半すぎに始まった新宿区内の街頭演説では紫色のタスキをかけて「世界各国で若いリーダーが生まれている。みんなで時代を動かすチャンスがきている」と訴え、選挙カーの上から「東京を動かそう」と拳を突き上げた。

2020年に大手銀行のアナリストから安芸高田市長に転じた。新宿区の事務所に集まった支援者を前に「経済を知り、行政を知る都知事」を強調した。市長時代からSNSの発信に力を入れてきた経緯もアピールする。

元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)は午前11時ごろ、東京・築地の事務所近くで第一声をあげた。「東京を安全で豊かな暮らしができる街にしたい。強い日本を東京からつくっていきたい」と支援者らに呼びかけた。災害用の備蓄の充実をはじめとする防災対策、道徳教育の強化を掲げた。

14年の都知事選にも無所属で立候補し、4番目に多い約61万票を集めた。田母神氏は「都民の暮らしは楽になっていない。公約の良しあしではなく、公約を実行する力があるかどうかで候補者をみてほしい」と述べ、自衛隊時代の行政経験に基づく政策実現の力を強調した。この日は防衛省前でも演説した。

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