首相官邸が作成した動画で定額減税について紹介する矢田稚子首相補佐官(ユーチューブから)

 政府が、6月に始めた所得税と住民税合わせて4万円の定額減税のPRに躍起になっている。給与明細に減税額の記載を義務付けたのに加え、特設サイトや動画を作成し、交流サイト(SNS)を中心に浸透を図る。可処分所得を増やす狙いだが、長引く物価高の中で国民が恩恵を実感できる保証はなく、政権浮揚につながるかどうか見通せない。

 首相官邸が作成した約40秒の動画では、賃金・雇用担当の矢田稚子首相補佐官が「何もしなくても税金が減って手取りが増える」「1世帯4万円ではなく1人4万円なので、扶養家族が3人の4人世帯ならばなんと16万円減税される」とテロップ付きで紹介。官邸の特設ページでは、チャート図やモデル世帯を示して減税の仕組みを解説している。

 ただ、動画には「その場しのぎ」「増税も説明してほしい」などの否定的なコメントが並ぶ。給与明細への記載義務付けに対しても「事務が煩雑で、現場の負担を増やしている」(立憲民主党の泉健太代表)との批判が相次いだ。

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