「1票の格差」から選挙制度を考えるシンポジウムが29日、東京都文京区の中央大で開かれ、憲法学者や弁護士が選挙制度改革の必要性などを訴えた。  1票の格差は、2021年の衆院選が最大2.08倍、22年の参院選は3.03倍だったが、最高裁はいずれも「合憲」と判断。「1票の格差」是正を目指す弁護士グループを率いる升永英俊弁護士は「国会議員1人あたりの有権者数が同一でなければ正統性はない」と主張した。

升永弁護士(左から2番目)や憲法学者らによる選挙制度のシンポジウム=東京都文京区で

 専修大の棟居快行(むねすえ・としゆき)教授は最高裁の「合憲」判断を疑問視。「(投票価値を平等にして)1人1票にしなければ、国会議員は憲法で規定された『全国民の代表』と言えない」と語った。明治大の斎藤一久教授は直近3回の参院選が3倍以上の格差となっている点を挙げ「改革していない。主権者として危機感を持つ必要がある」と指摘した。  シンポジウムは幅広い法学研究者が参加する日本比較法研究所が主催。進行役を務めた中央大の橋本基弘教授は「民主主義、選挙という国民の政治参加について広い視点で考えたい」と語った。同研究所は今秋にもシンポジウムを開く予定。(大杉はるか) 

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