財務省が3日公表した2023年度の一般会計の決算概要によると、税収が予想より増えたことなどで生じる剰余金が8517億円となり、その半分の4250億円が防衛費増額に充てられる見込みとなった。決算剰余金から防衛費に回す金額は、年度当たり平均「7000億円」を政府は想定しているが、大幅に下回った形。防衛費増額が総額約43兆円と規模ありきで決められたため、その財源が不安定なことがあらためて鮮明となった。

◆防衛費増額の財源、単年度では想定額に届かず

 23年度の税収は、好調な企業業績を反映し法人税が伸び、72兆円と4年連続で過去最高を更新した。一方、物価高対策予備費など事業に使われなかった「不用額」は6兆8910億円。想定より増えた税収と予算の不用額は国債(借金)発行の減額などに使われ、残り8000億円余が剰余金となる。

財務省(資料写真)

 剰余金の半分はまず国債の返済に充てられ、残り半分は防衛費増額の財源に使われる仕組み。23年度は4000億円余だが、前年の22年度は剰余金からすでに1兆円を防衛費に繰り入れており、財務省は「2年平均で年7000億円のラインを越える」とする。だが、来年発表される24年度決算で23年度と同様、剰余金が想定より下回ると、財源不足に陥る可能性がある。  政府の防衛費増額計画は23〜27年度の5年間で総額約43兆円で、決算剰余金のほか、歳出改革や税以外の収入でつくる「防衛力強化資金」で確保される。法人、所得、たばこの3税による増税も想定されるが、実施時期は決まっていない。(市川千晴) 

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