在沖縄米兵による性的暴行事件が相次いで発覚したことを受け、沖縄県の玉城デニー知事は3日、外務省で上川陽子外相と面会し、再発防止策の徹底や県への速やかな情報提供などを求める抗議文を手渡した。地元紙が事件について報じるまで政府から県に連絡がなかったことについて「県として何ら対応をとることができなかった。極めて大きな問題だ」と訴えた。  玉城氏は上川氏に対し、米兵に対する外出制限措置の厳格化や再発防止策の公表なども求めた。上川氏は「(米側に)綱紀の粛正と再発防止を申し入れた。被害者のことを思うと心が痛む」と述べた。

首相官邸に入る沖縄県の玉城デニー知事=3日、東京・永田町で

 これに先立ち、玉城氏は防衛省で鬼木誠副大臣と、首相官邸で栗生俊一官房副長官と面会。岸田文雄首相に宛てた抗議文では「悪質な事件がたて続けに発覚し、県民に強い不安を与えている」と指摘した。  政府は米兵による重大事件に関して、政府内や関係自治体との情報共有のあり方を検討する方針を示している。外務省幹部によると、外務省や警察庁、法務省による協議が始まっているという。

◆報道発表していない事件、昨年から5件

 林芳正官房長官は3日の記者会見で、昨年以降、報道発表していない在沖縄米兵の性的暴行事件は計5件に上ると説明。今月になって判明した3件はいずれも不起訴になったという。政府はこれまで、被害者の名誉やプライバシーへの影響を考慮して事件を公表しなかった捜査当局の判断を踏まえ、県に情報を提供しなかったと説明している。(中沢穣) 

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