自民党衆院議員の石井拓経済産業大臣政務官(比例東海)が、2021年に自身が代表を務める党支部に計932万円を寄付し、所得税の一部を控除される優遇措置を受けていたことが分かった。石井議員の事務所は取材に「自己資金から寄付をした分について控除を受けた」と認めた。

自民党の石井拓衆院議員

 石井議員は2021年10月の総選挙で初当選。自身が代表を務める同党愛知県第13選挙区支部の政治資金収支報告書によると、石井議員から支部に対し、2021年に932万円の寄付があった。また、この年は支部から議員に対して、選挙関係費として1200万円の寄付が行われていた。

◆「道義的に差し控えるべき」と党本部に指摘され

 事務所側の説明によると、2021年分の支部への寄付に対する税控除は法律上、制限されていないため受けた。その後、党本部に問い合わせたところ、道義的に差し控えるべきだと指摘されたことから、2022年分以降は受けていないという。  税優遇を受けた同じ年に、支部から議員に寄付があったことについて、本紙は支部に寄付し、再び議員に戻したことで税優遇だけを受けたのではないかと質問したが、「(支部から議員への寄付は)党本部からの政党交付金から出している」と事務所側は否定した。  議員自身が代表の政党支部への寄付による税優遇を巡っては、自民党の裏金事件で派閥からのキックバック(還流)を受けた議員らが制度を利用していたことが発覚。県内国会議員では、立憲民主党の吉田統彦衆院議員(比例東海)も2022年までの3年間で計5000万円を寄付し、税優遇を受けていた。

 岩井奉信(ともあき)日本大名誉教授(政治学)の話 政党支部は事実上、政治家個人の持ち物になっているため、議員から支部へ寄付したら納税分の一部が戻ってくるというおかしな制度になってしまっている。政党への寄付による税控除の制度は一般の有権者の個人献金を促す趣旨であり、政治家が利益を得るためではない。政治資金規正法の改正で検討事項に入ったものの、制度の改正には時間がかかる。まずは政党が、所属議員がこの制度を使うことを禁じるよう宣言なり、党則への明記なりをするべきだ。



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