政府は捜査当局による法人の実質的支配者の把握を効率的にするシステムの構築を検討する

財務省は18日、新たなマネーロンダリング(資金洗浄)対策に取り組む方針を表明した。金融庁や警察庁、法務省などが連携して、金融機関などが保有する企業の実質的支配者の情報に、捜査当局がアクセスできるシステムの構築を検討する。

規制改革推進会議のスタートアップ支援策を議論する作業部会で明らかにした。

スタートアップ支援では会社設立の手続きを簡素にするとともに、資金洗浄に使われるような実態のないペーパーカンパニーの設立を防ぐことが課題となる。

資金洗浄対策を強化するため、財務省は株式会社に自社の株主となる実質的支配者の情報を法務局へ提出するよう求める仕組みを構築する案を説明した。金融機関による管理の徹底を求める方向だ。制度の詳細は今後詰める。

資金洗浄対策を審査する国際組織の金融活動作業部会(FATF)は勧告で各国に、法人の実質的支配者の最新情報を公的機関が保有するよう求めている。

作業部会は会社設立の手続きを簡素にする支援策も議論した。起業時に公証人が、定款について創業者の意思を面会して確かめる手続きで、法務省は動画やシステム上で会社設立の意思を確認できれば、オンラインを含めた面会による確認を省略できるよう見直すと明らかにした。

法務省は公証人が面会して確認する現行のしくみは、資金洗浄対策に効果があるとみている。政府は規制緩和で会社設立の手続きを簡素にするため、資金洗浄対策の強化を並行して進めており、財務省の提案もその一環だ。

公証人に支払う手数料については「起業促進の観点で検討すべき課題」と述べ、引き下げる方向で検討を進める。支援策の一環として22年に、一律5万円だった手数料を、資本金額に応じて3万〜5万円の3段階に規制緩和した。

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