東京都知事選で3選を果たし、引き続き首都・東京のかじ取りを担うことになった小池百合子氏が直面する課題は少なくない。とりわけ難題なのが、選挙戦でも大きな争点になった少子化対策だ。東京新聞が7日に実施した出口調査では、小池氏に投じた有権者の3割強が教育・子育て政策を重視すると答えており、期待は大きい。専門家は、個々の政策の実効性がこれまで以上に問われることになるとみる。(渡辺真由子)

◆1期目は待機児童解消、2期目は「018サポート」

都知事選で当選を確実にし、記者の質問に答える小池百合子氏(左)=7日夜、布藤哲矢撮影

 小池氏が2016年の知事選で初当選した後、真っ先に取り組んだのが待機児童の解消だった。保育所増設の補助などを通じて大幅減を図った。  2期目は、第2子からの保育料の無償化や18歳以下の都民1人に月5000円を給付する「018サポート」など経済的負担の軽減策を次々と打ち出した。出会いから出産、子育てまで「シームレス(継ぎ目のない)な支援」を打ち出し、将来の妊娠に備えた健康管理「プレコンセプションケア」などにも力を入れた。

◆「1」を割り込んだ出生率、どう改善?

 ただ、都の合計特殊出生率(1人の女性が一生のうちに産む子どもの推計)は昨年、0.99と全国で唯一「1」を割り込んだ。都の担当者は「合計特殊出生率は15~49歳が対象。学生や若い世代が多い都は数値が低く出やすい」としつつも、「晩婚化や非婚化などさまざまな要因が考えられる」と分析する。

東京都庁

 小池都政の施策展開について、少子化対策に詳しい東京大の山口慎太郎教授は「ここまでの予算規模はこれまでなかった」と一定評価する一方、個別の政策については「018サポートなどの現金給付策は、インパクトは強いが出生率につながりにくい」と効果に疑問を投げかける。  その上で「住宅の供給などの子どもを持ちやすい環境整備と、今以上に貴重となる人材である子どもの発展を支える教育環境の整備が必要となる」と提言する。 

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