子育て支援金 岸田文雄首相が2023年1月に「異次元の少子化対策」を掲げ、児童手当や育児休業給付の拡充、親の就労を問わず保育を利用できる「こども誰でも通園制度」などを盛り込んだ「こども未来戦略」を23年12月に閣議決定した。国と地方合わせて新たに年3兆6000億円規模の予算を充てる。財源確保の仕組みが整う28年度には「子ども・子育て支援金」で約1兆円、社会保障の歳出改革で約1兆1000億円、既存の予算活用で約1兆5000億円を捻出する。支援金の徴収は26年度から始め、段階的に引き上げる。
遊具で遊ぶ幼児。子育て支援金は本当に「実質負担なし」なのか…
◆立憲民主議員「政府の姿勢は不誠実極まりない」
支援金の財源に関しては、岸田文雄首相が早々に税方式での徴収を封印した経緯がある。公的医療保険料と合わせて徴収する支援金について、「負担増」との批判を恐れて不誠実な説明を続ければ、国民の不信がさらに広がりかねない。 18日の特別委の採決に先立つ反対討論では、立民の早稲田夕季氏が「国民の負担増となるのに実質負担はないと繰り返す政府の姿勢は不誠実極まりない」と批判。維新の一谷勇一郎氏は「負担が現役世代に集中する」と訴えた。◆効果の検証を求める付帯決議、担当相が「尊重」
特別委では、立民と維新が支援金に代わる財源を盛り込んだ修正案をそれぞれ提出したが、否決された。一方、支援金の効果などを検証し、適切な見直しを行うよう求める付帯決議案が可決され、加藤鮎子こども政策担当相は「趣旨を十分尊重する」と応じた。 支援金制度を巡っては、国民の負担に関する情報を政府が出し渋る場面が目立ってきた。制度の創設が盛り込まれたのは2023年6月の「こども未来戦略方針」。だがその後、具体的な負担内容は示されないまま、法案は23年末に閣議決定された。首相は今年2月の衆院予算委員会でようやく「1人当たり月平均で500円弱」との試算を明らかにした。◆「あくまで参考」と政府
その後も、野党の求めがあるまで収入別の試算を公表せず、「(情報を)小出しにしている」(立民の泉健太代表)との批判が噴出。特別委での採決直前の16日まで段階的に出てきた収入別の試算では、「月500円弱」を大きく上回るケースも出てきた。政府が「あくまで参考・補足」と強調し、こども家庭庁ホームページなどで広く周知されないものもあった。 法案では、現在中学生までにとどまっている児童手当の支給を高校生年代まで延長し、所得制限も撤廃する。両親共に育児休業を14日以上取った場合、育休給付を最大28日間、実質10割に引き上げる。財源は支援金などを充てる。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。