林芳正官房長官は10日の記者会見で、2023年度に計上した防衛予算のうち使い切れなかった不用額が1300億円程度となる見通しを明らかにした。林氏は理由について、防衛装備品などの契約額が予定を下回ったことや、人件費などで予算上の想定人員と実際の人員の差が生じたことを挙げ、「不用の割合が例年と比べて高いものではないと聞いている」と説明した。
政府は防衛力強化を掲げ、27年度までの5年間の防衛費を従来の1・5倍となる43兆円程度まで増やすことを決め、予算の一部をまかなうための増税も実施する方針。予算を使い切れていない実態が明らかになり、防衛増税の開始時期をめぐる年末の税制改正の議論にも影響を与える可能性がある。
林氏は「安全保障環境が厳しさを増す中で、防衛力の抜本的強化は国民の命と平和な暮らしを守るために待ったなしの課題だ」と強調した。
防衛省・自衛隊をめぐっては、海上自衛隊の潜水艦乗組員らが、潜水艦を受注する川崎重工業が捻出した裏金で飲食接待などを受けていたことが表面化するなど不祥事が相次いでいる。(笹川翔平)
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