防衛省は16日、海上自衛隊の潜水艦修理契約に関する「特別防衛監察」を同日から始めたと明らかにした。川崎重工業が裏金を捻出して乗員に金品などを提供していた疑いがあり、他の事業者も含め、契約の適正性などを調べる。

川重と防衛省は3日に問題を発表した。川重によると、取引先企業との架空取引による裏金捻出は遅くとも6年前に始まり、額は少なくとも十数億円に上るとみられる。乗員と同社社員の飲食代に充てられた他、商品券や生活用品、工具などを購入し、乗員に提供した疑いがある。

防衛省によると、海自は計25隻の潜水艦を保有している。川重と三菱重工業が神戸市の工場で製造し、3年に1回の定期検査なども担う。1年に1回の年次検査や臨時の修理はジャパンマリンユナイテッドが行うこともあり、特別防衛監察はこの3社との契約が対象になる。

木原稔防衛相は5日の記者会見で「防衛力の抜本的強化を進める中、国民の疑惑や不信を招くことがあってはならない」と説明した。防衛監察監に特別防衛監察の実施を指示していた。

特別防衛監察とは別に、防衛省は12日、特定秘密の不適切運用やパワハラなどの不祥事で218人(延べ220人)を処分した。うち懲戒処分は海自トップの酒井良海上幕僚長ら計117人。事務方トップの増田和夫事務次官や制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長ら最高幹部計5人を内部規定に基づく訓戒とした。〔共同〕

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