南太平洋の島国ツバルのフェレティ・テオ首相は16日、東京都内で朝日新聞の取材に、台湾と維持する外交関係について「私の任期中に変更することはない」と語った。中国が援助を提供する太平洋島嶼(とうしょ)国では台湾と断交し、中国と国交を結ぶ例が相次いでいたが、テオ氏は台湾との関係を重視する姿勢を強調した。

 ツバルは、太平洋で今も台湾と外交関係を持つ3カ国の一つ。親台湾派のナタノ前首相が今年1月の総選挙で落選した後、テオ氏が2月に首相に就任したばかりで、動向が注目されていた。

 テオ氏は、16日から始まる「太平洋・島サミット」に出席するため来日した。笹川平和財団で基調講演をした後、朝日新聞の取材に応じた。テオ氏は、ツバル独立から45年間にわたって台湾と外交関係を続けてきた歴史があるとし、「(中国に)変更する理由はない」と述べた。

 海面上昇の影響を受けているツバルは昨年、オーストラリアとの間でファレピリ連合条約を結び、気候変動の影響を受けたツバル住民のオーストラリア定住が認められた。オーストラリアがツバルの安全保障を担う一方で、同国の承認なしに他国と防衛協定を結ばないことで合意していた。

 太平洋島嶼国では、2019年にソロモン諸島とキリバス、24年にはナウルが台湾と断交し、中国と国交を樹立。中国はソロモンと安全保障協定を結ぶなど、影響力を強めている。こうした情勢から日米やオーストラリア、台湾が連携し、ツバルへの海底ケーブル敷設などの支援を強化している。(編集委員・奥寺淳)

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