「選択的夫婦別姓制度」に関して、議論の活性化を求める意見書が、香川県議会と県内17市町の全議会で可決された。制度導入を目指して活動する一般社団法人「あすには」によると、一つの都道府県内のすべての自治体議会で意見書が可決されたのは全国で初めてという。

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 民法では、結婚するときに男性か女性のどちらか一方が、必ず姓を変えなければならない。選択的夫婦別姓の導入には、国会での議論が必要だが進んでおらず、全国の地方議会で国に対して議論の活性化を求める声が上がっている。

 香川県内の議会で最初に動きがあったのは2020年12月。県西部の三豊市議会で、制度導入を国に求める意見書が可決された。

 その後、県議会で21年10月に議論の活性化を求める意見書が可決されるなどし、今年3月19日に市町で最後だった綾川、多度津、まんのうの3町議会で意見書が可決された。

 多くの議会で働きかけをしてきた「選択的夫婦別姓を願う香川県民の会(ぼそぼその会)」代表の山下紀子代表(51)は、「夫婦で同姓が強制されることに悩んでいる人がいる。今回の件を通じて、少しでも自分事として捉えてくれる人が増えて欲しい」と話した。

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 選択的夫婦別姓をめぐっては、各地で当事者による裁判が起こされてきた。15年には最高裁が初めて憲法判断を示し、現行の夫婦同姓は「合憲」とされた。

 一方で、制度自体が否定されたわけではなく、結婚や家族の法制度については「その時々の社会的条件や国民生活の状況などとの関係において決められるべき」だとされた。

 各地の地方議会で意見書や陳情の採択・可決が広がる意味について、追手門学院大学の三成(みつなり)美保教授(ジェンダー法学)は「地方議会からの意見書を通じて、裁判所が国民意識の変化を認識してくれる可能性があり重要だ」としている。(山田健悟)

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