財務省は31日、為替介入に備えた外国為替資金特別会計(外為特会)の2023年度の剰余金が3兆8883億円となったと発表した。円安が進行したことで、剰余金は当初の想定より4976億円増え、過去最高額だった07年度に続く水準。既に使われた分を含めて約2兆円が防衛費増の財源に回る。(市川千晴)

◆すでに防衛費増額のアテにされている外為特会剰余金

財務省

 外為特会は、保有する米国債などの利子収入で剰余金が生じる。23年度は3兆3907億円の剰余金を見込んでいたが、米国の利上げで保有する米国債の利息収入が増えたほか、外国為替市場で円安が進み、円換算で剰余金が増えた。  27年度までの5年間で総額43兆円を見込む政府の防衛費増額の計画では、外為特会の剰余金の一部が財源。剰余金の上ぶれ分4976億円の使い道は今後、検討されるが、増税など防衛費増の財源を巡る議論に影響を与えそうだ。一方、剰余金はこれまでも防衛費以外に使用されており、防衛財源に回る分が増えれば、ほかの政策にしわ寄せが行く懸念がある。

◆一般会計剰余金も半分が防衛費に

防衛省

 また、同日発表した23年度の一般会計決算の剰余金は8517億円となり、その半分の4250億円が防衛費に充てられる。  防衛費増の財源はこれら剰余金のほか、歳出改革や国有資産の売却などで賄われる。また、法人、所得、たばこの3税を24年以降に増税して防衛財源にする方針を打ち出しているが、開始時期は決まっていない。


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