2025年大阪・関西万博の期間中に会場北隣で進むカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備工事について大阪府市が中断を求められている問題で、大阪府の吉村洋文知事は5日、万博の全期間の中断は「難しい」とする回答をIR事業者から受けたと記者団に明らかにした。万博への影響が少なくなるよう、事業者と協議を進めていることも明言した。

  • 「万博の横でカジノ工事なんて」 開催中の工事中断、吉村知事に要求

 万博開催は来年4月から約半年間。人工島の夢洲(ゆめしま)(同市此花区)にある会場予定地の北隣では、30年秋ごろの開業をめざす日本初のIR施設の整備が進んでおり、来春ごろには施設の本体工事に取りかかる予定だ。

 この問題では、万博の国際機関である博覧会国際事務局(BIE)のディミトリ・ケルケンツェス事務局長や日本国際博覧会協会(万博協会)の十倉雅和会長(経団連会長)が、万博期間中の景観悪化や騒音を懸念し、工事中断を求めている。

 吉村知事はこの日、今年6月にケルケンツェス事務局長から懸念を伝えられたと明らかにした。その後、IR事業者に状況を説明したところ、半年間の工事中断に難色を示され、7月下旬には十倉会長と協議したものの理解を得られなかったという。現時点では府市から事業者へ「最大限考えられるところを考えて欲しい」と対策の再検討を求めている、と説明した。

 吉村知事は、工期変更は開業の遅れや事業費増につながりかねず、「影響というのはとてつもなく大きくなる」と指摘。事業者が採算がとれないと判断した場合は撤退する可能性もあるとした。「何とか着地点を見いだせないかということを今議論している最中だ」と語った。(吉川喬)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。