東京・伊豆諸島の鳥島沖合で衝突したとされる海上自衛隊の哨戒ヘリコプター「SH60K」2機が墜落した事故で、機体の接近を警告するアラートが機能しない状態だったとみられることが22日、防衛省関係者の話で分かった。海自は24時間体制で捜索を継続。行方の分からない隊員7人の救助を急いでいる。
事故は20日夜に発生。鳥島の東約280キロの洋上で潜水艦を探知する夜間訓練中だったヘリ2機が消息を絶ち、海自はフライトレコーダーが近い場所で回収されたことやレーダー記録などから、2機が衝突して墜落した可能性が高いと判断。搭乗していた計8人のうち1人の死亡が確認された。
防衛省関係者によると、SH60Kには同じ作戦行動をする機体間で位置情報などを共有する「僚機間リンク」というシステムがあり、接続中は制限を超えて機体同士が接近すると警告音が鳴る仕組みになっている。「警告で回避すれば事故は防げる」とされるが、今回作動したかは確認できていない。常時の接続を義務付けてはおらず訓練内容で切断する場合もあるといい、詳しい状況を調べている。
システム非接続時は、機体の「衝突防止灯」や相互の無線通信、レーダー監視などで事故を回避する。ただ夜間は視認性が悪く、対潜水艦戦訓練では狭い範囲で数機がホバリングや移動を繰り返すため、危険度は高い。2021年に起きた哨戒ヘリ同士の空中接触事故でも、見張りや連携の不足が原因に挙げられた。海自は墜落したヘリのフライトレコーダーを解析し、飛行データや音声記録を調べている。
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