外務省は各在外公館の領事業務をオンライン化し地域の拠点となる大規模な総領事館に仕事を集約する方針だ。紙での手続きを想定した窓口での対面による業務を減らし、在外公館の職員が担当国にいる日本人の保護に注力できるようにする。
各在外公館は、在留の日本人がパスポート(旅券)の更新を申請したり、外国人が日本に入国するためのビザ(査証)を取ったりするなどの業務を担う。
外務省は7月下旬から米国の一部で外国人が電子ビザを取得する業務の集約を始めた。ロサンゼルスの総領事館を拠点とし、シアトル総領事館をはじめとする米国の北西部と南部にある5公館・事務所の業務を、ロスに移管した。
8月末にはサンフランシスコ総領事館の電子ビザ業務もロスに移す。2024年度中にサンフランシスコを含む6公館・事務所の領事業務の全般をロスに集約する方向だ。ロスは全米2位の人口規模の都市で在留邦人が世界で最も多い。
米国での業務の集約による効果を確認し、範囲を他の国にも広げる。世界の地域ごとにロスのような拠点公館を置くことも想定する。
外務省は23年3月から在外公館でパスポートやビザなどのオンライン申請・決済を始めた。窓口での業務を減らせ、拠点への集約が可能になる。処理のスピードも上がり、電子ビザは申請から発給までの時間を平均5業務日から3業務日に短縮できるという。
23年のアンカレジ領事事務所における電子ビザの処理件数は9件にとどまった。少ない件数に対応するために仕事を習熟することは非効率で、日ごろから一定量の業務をこなす大規模な公館で集中して処理する方が合理的だ。
オンライン化できる領事業務を拠点公館に集約すれば、職員をより邦人保護の仕事に充てられる。先進国や途上国を問わず、暴動やテロなどのリスクは高まっており、有事の際に機動・能動的に対応できる体制をつくれるようにする。
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