岸田文雄首相(自民党総裁)は14日、9月の自民党総裁選への不出馬を表明した。党派閥の政治資金問題などによる政治不信を払拭できず、内閣支持率は低迷していた。次期衆院選を見据え、党内から首相交代論が出る状況で総裁再選は難しいと判断した。

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9月末の総裁任期の満了に合わせ退陣する。首相官邸での記者会見で「新生・自民党を国民の前にしっかり示すことが必要だ。自民党が変わることを示す最初の一歩は私が身を引くことだ」と述べた。

政治資金問題について「組織の長として責任をとることに、いささかのちゅうちょもない」と指摘した。不出馬表明によって「けじめをつけ、総裁選に向かっていきたい」と強調した。

後継を選ぶ自民党総裁選は規定に基づき9月20〜29日の間に投開票する。運営を担う選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)が20日に日程を決める。衆院議員の任期末となる2025年10月30日までにある次期衆院選を見据えて「党の顔」を選ぶ。

首相は総裁選に関し「我こそはと思う方は積極的に手を挙げて真剣勝負の議論を戦わせてほしい」と期待を示した。「新総裁の選出後はノーサイド」とも強調し「一致団結、政策力、実行力に基づいた真のドリームチームを作ってもらいたい」と訴えた。

後継について「不出馬を表明した人間が申し上げることは控えるべきだ」と語った。その上で政治の信頼回復に向け「改革マインドが後戻りすることがないような人であってほしい」と注文を付けた。

首相は21年10月、菅義偉氏の後任として就任した。新しい資本主義を掲げ、デフレ経済からの完全脱却と新たな成長型経済への移行を目指した。

足元の消費者物価は前年同月比2%を超える水準で推移し、24年の春季労使交渉(春闘)の賃上げ率は33年ぶりに5%を上回った。日経平均株価は7月11日に4万2224円の史上最高値をつけた。

22年2月にロシアがウクライナ侵略に踏み切るなど国際秩序を揺るがす事態が続く。23年5月に地元・広島で開いた主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の議長を務めた。24年4月には国賓待遇で訪米し日米同盟の強化を確認した。

在任日数は14日で1046日となり、戦後35人の首相のなかで岸信介氏に次いで8番目に長い。バイデン米大統領は大統領選から撤退し今期限りで退くと決めている。英国でも7月の総選挙でスナク氏が率いる保守党が敗れ、スターマー新首相が就いた。

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