防衛省は20日、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、埋め立て予定地の北側にある大浦湾側の沖合で本格工事に着手した。飛行場を建設するため、護岸を整備して海域を埋め立てる。
大浦湾側には軟弱地盤があり、沖縄県は移設工事を認めない姿勢を取る。法廷闘争を経て国が代わりに設計変更を承認する「代執行」が2023年に認められ、防衛省は24年1月から軟弱地盤の改良工事に取り組んでいる。
今回新たに埋め立て地を整備するため、必要なコンクリート製の護岸をつくり、その内側に土砂を投入する。海中に金属製のくいを打ち込んでいく。護岸整備の開始を受け、移設工事はよりいっそう本格化する。
辺野古の埋め立て海域は「辺野古側」と「大浦湾側」に分かれ、大浦湾側が7割超を占める。辺野古側では18年に埋め立てを始めており、進捗率は99%を超える。工事全体の終了に12年程度かかる見通しだ。
沖縄県の玉城デニー知事は20日、宜野湾市内で記者団に「協議が整っていないにも関わらず、一方的に工事に着手することは誠に遺憾だ」と述べた。防衛省に協議の継続と工事の中止を求めると強調した。
普天間の返還は1996年の日米合意に基づく。当初は返還に要する期間は5〜7年以内とされていた。地元との調整が難航するなど度重なる遅れが生じた。防衛省は普天間が住宅地に近く危険性が高いと訴え、地元に理解を求めてきた。
日本周辺の安全保障環境は厳しさを増し、特に沖縄県など南西地域での日米の部隊協力の重要性は高い。中国の海洋進出や北朝鮮のミサイル発射などに備え、自衛隊と米軍はより緊密に連携していく。
在日米軍を指揮権を持つ「統合軍司令部」に再編する計画もある。日本政府は基地再編に向けた準備を急ぐ。
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