過去最多の5人が出馬した21日投開票の東京都目黒区長選は、現職青木英二氏(69)が、小池百合子都知事や蓮舫参院議員、河野太郎デジタル相らがそれぞれ支援した新人候補らを破り、6選を果たした。ただ、青木氏の得票率は有効投票数の3割ほど。多選批判票を新人が分け合う形になった上、自民党側からは裏金問題が響いたとの声も上がる。投票率は36.21%で、前回を2.88ポイント上回った。

目黒区長選確定得票
当 25,439 青木英二 無現<6>
  20,369 伊藤悠 無新
  19,132 西崎翔 無新
  12,149 河野陽子 無新
  3,953 滝下隆行 無新

◆「謙虚に…」新人に迫られた翌朝に語った

 「謙虚にやっていかなければ」。22日朝、青木氏は目黒区役所で本紙の取材にこう語った。約2万5000票で当選したが、2、3位の元都議の新人2人が約2万、約1万9000と迫ったためだ。得票も前回より約5000票減らした。  背景には、5期20年にわたる青木区政への厳しい視線がある。選挙期間中は新人候補が口々に「変わらない区政」「指示待ち、命令待ち、横並び」と批判。多選を望まない票の受け皿になった。

当選を確実にして支援者らと万歳する青木英二さん(中)=21日夜、東京都目黒区内で

 だが、ある陣営関係者が振り返るように「票を分け合ってしまった。現職に挑むのに新人が割れていては…」。目立った争点に欠け、差別化をしきれないまま、新人はそろって青木氏の地力に屈した。

◆「唯一の女性候補」自民は4位に沈んだ

 特に自民は振るわなかった。推薦を受けた元区議河野陽子氏は、唯一の女性候補であることを強調。親族の河野デジタル相や、武見敬三厚生労働相らと街頭に立ったが、約1万2000票の4位だった。2021年の都議選目黒区選挙区で自民候補2人が獲得した計約2万3000票の半分ほど。ある自民関係者は「国政の裏金問題の逆風が100%影響した」と嘆く。  いわば敵失で勝利を拾った側面もある青木氏。公約では、投票率を上げるために3年後に辞職して再出馬せず、区長選を統一地方選の区議選と同日にするとしている。それまでの3年間、青木氏に票を投じなかった人も含め、区民の声にどう応えていくかが問われている。(中村真暁) 

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