立憲民主党の野田佳彦元首相(67)が、党代表選(9月7日告示、23日投開票)に立候補する方向で調整に入った。複数の党関係者が明らかにした。当初、野田氏は出馬に慎重だったが、政権交代の実現には自身の立候補が必要との判断に傾いたとみられる。

 野田氏は23日、側近議員と対応を協議。26日の立候補説明会に、自らが率いる党内グループ「花斉会」(14人)のメンバーを出席させることを決めた。野田氏をめぐっては、次期衆院選での政権交代を見据え、首相を務めた政治経験や野党との連携強化への期待から、党内の待望論が高まっていた。

 野田氏は「政権交代を実現するために、できることは何でもやりたい」と語りつつ、代表選については「『自分が、自分が』とは思っていない」とも語っていた。

 ところが、14日に岸田文雄首相が9月の自民党総裁選への不出馬を表明。総裁選への関心が高まる中、野田氏は立憲代表選が埋没することへの危機感を募らせていた。19日には地元の国会議員らが出馬を要請。「熟慮させていただきたい」と応じ、出馬の可否を検討してきた。

 衆院千葉4区選出で当選9回の野田氏への待望論は、重鎮の小沢一郎衆院議員(82)や中堅・若手でつくる党内グループ「直諫(ちょっかん)の会」の一部にも広がる。さらに、日本維新の会の馬場伸幸代表が「(野田氏とは)波長が合う」と述べており、維新との連携強化への期待感がある。

 一方、2011年9月からの首相在任中、マニフェスト(政権公約)になかった消費増税を進めるなどして党分裂を招き、12年12月の衆院選で政権を失った経緯から、党内には拒否感もある。

 代表選で選ばれる野党第1党の党首は、次期衆院選での「次の首相」候補に位置づけられる。代表選には、泉健太代表(50)と枝野幸男前代表(60)が立候補の意向を固めている。(松井望美)

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