福島県いわき市の小名浜魚市場で海産物などを試食する岸田首相=24日午後(代表撮影)

 東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出開始から24日で1年。岸田首相は福島県いわき市を視察し、水産物の販路拡大に向けた支援に万全を期す考えを示した。中国による日本産水産物の輸入停止措置を巡る関係閣僚会議を週内に開き、秋に策定する経済対策を見据えた方向性を示すとした。

 漁業者の懸念解消につながるかどうかは不透明。22日には福島第1原発2号機で溶融核燃料の取り出し作業がミスで中断。東電の管理の甘さにも漁業者らの不信感が募る。

 首相はいわき市の小名浜魚市場を視察し、福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長らと意見交換。中国の輸入規制は「全く科学的根拠に基づかない措置で受け入れられない」と改めて批判し、あらゆるレベルの交渉を通じて即時撤廃を求めると明言。引き続き漁業者支援に取り組み、国が前面に立って廃炉を進めるとした。

 野崎氏は処理水放出に反対を続けている立場を強調。北海道や青森県の水産物への影響に懸念を示し「国がどのように中国に対応するかだ。理解を求め冷静に話し合う姿勢が重要だ」と訴えた。

食堂で海産物などを試食する岸田首相。左は福島県漁連の野崎哲会長=24日午後、福島県いわき市の小名浜魚市場(代表撮影)

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