中国軍のY9情報収集機が26日に長崎県五島市の男女群島沖で領空を侵犯した問題をめぐり、中国国防省の呉謙報道官は29日の月例会見で「外交チャンネルで意思疎通を続けている」と述べ、具体的な説明を避けた。

 呉氏は「中国は平素から各国の主権を尊重している。この件について深読みしすぎないよう望む」とも述べた。意図的な侵犯だったかをめぐり、議論が起きている状況を意識した発言とみられる。

 この問題をめぐっては、中国外務省は27、28両日の会見では「状況を確認中」としつつ、「いかなる国の領空も侵す意図はない」と説明。中国共産党序列3位の趙楽際(チャオローチー)・全国人民代表大会常務委員長も、超党派の「日中友好議員連盟」を率いて訪中した自民党の二階俊博元幹事長と28日に会談した際に「日本の領空を侵犯する意図はない」と発言していた。

 日本の防衛省の説明によると、Y9機は緊急発進(スクランブル)した航空自衛隊の戦闘機などから監視や警告を受けつつ、約2分にわたって日本の領空内を飛行したという。しかし、中国側は今回の領空侵犯が意図的だったのかという点について具体的な説明を避けている。

 中国軍機による日本の領空侵犯は初めて。木原稔防衛相は27日の記者会見で「我が国の主権の重大な侵害であるだけでなく安全を脅かすものであり、全く受けられない」と話した。(北京=畑宗太郎)

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