自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、離党勧告処分を受けた安倍派の塩谷立元文部科学相(衆院比例東海)は23日、再審査請求の却下を受け、離党届を提出した。塩谷氏は国会内で記者会見し、党の判断を「非常に疑問」と批判。その上で、無所属で議員活動を続け、次期衆院選に出馬する考えを示した。(三輪喜人、坂田奈央)

◆「次の選挙にもしっかりと挑戦していこうという気持ち」

自民党に離党届を提出し、記者会見する塩谷立氏(千葉一成撮影)

 塩谷氏と記者の一問一答は次の通り。  記者 今回、このような経緯で離党に至ったことの率直な受け止めを。  塩谷氏 本当に多くの皆さん方のご支援で約30年間、自民党議員として務めてきた。今回こういった処分が下されたことは誠に残念。党紀委員会あるいは総務会での再審査の請求に対する判断を非常に疑問に思っている。  総務会に14ページの弁明書を出したが、次の日にもう結論が出た。自由と民主主義を標榜(ひょうぼう)している党の体制として、それがあるべき姿かということに疑問を持たざるを得ない。  記者 今後の政治活動は。  塩谷氏 支援者の皆さん方のご意見を聞く会合を今日も持ったが、私自身はこういう形で終わることに納得がいかない。今までの経験を生かして、できる限りのことで努力をしたいと思っている。無所属としての議員活動を続け、次の選挙にもしっかりと挑戦していこうという気持ちだ。ただ現実問題、これだけの逆風の中で大丈夫かという意見も多々あり、そういったことも含めて最終的に判断したい。

◆「マスコミ、野党に迎合した形でこの結果に至った」

自民党に離党届を提出し、記者会見する塩谷立氏(千葉一成撮影)

 記者 今月4日の正式処分から離党届を提出するに至るまで、岸田文雄首相と直接連絡を取り合ったか。  塩谷氏 いや、ありません。  記者 首相に対する思いは。  塩谷氏 首相の立場としては、やはり信頼回復と、そして国民の支持をどう得ていくかでしょうから、そこは頑張っていただきたいと思っている。だが今の状況で果たしてどうかなという疑問は当然ある。  記者 今の状況でどうか、というのは。  塩谷氏 現実、支持率も上がらない。処分もある面では、マスコミあるいは野党に迎合した形でこの結果に至ったと思うが、それが支持率につながっていない。もう少し根本的な政治とカネの問題とか、あるいは自民党政治の在り方とか、そういった議論をするべき時ではないかなと思っている。  そういう意味では、今回の問題、もちろん私自身も政治的、道義的責任は強く感じている。しかし、やはり党のトップとして、どう捉えていくかというところが国民に伝わっていないのが今の支持率だと思う。

◆「今後の党運営に禍根を残す」

 記者 自民党での復党を目指すのか。  塩谷氏 離党届を出したばかりで、復党のことは全く考えていない。まずは無所属で活動する。  記者 政権与党のベテランという立場から無所属という立場に変わる。地元の代表としての役割をこれまでと同様に果たしていけると思うか。  塩谷氏 今まで積み上げたものもある。地元の代表としての役割は果たしていきたい。しっかり努力していきたいと思う。

自民党に離党届を提出後の記者会見を終え、席を立つ塩谷立氏(千葉一成撮影)

 記者 首相は現状、責任を取っていないように見える。離党勧告という処分は適切だったか。  塩谷氏 これ(処分結果)が適当かどうかという議論を明らかにしていくことが必要だったと思うが、それがなされなかったことは非常に残念。今後の党運営に禍根を残すのではないかと思う。離党勧告が適当かどうかというのは私としては判断できない。どういう基準だったのか明らかにしていただきたかった。  記者 静岡では知事選が控えている。県連が23日、候補予定者の推薦を上申した。それとは別に、宮沢博行衆院議員(比例東海)も辞職した。知事選前に問題が相次いでいる。  塩谷氏 知事選も降って湧いたような話だし、宮沢さんの話も今日突然やってきたので、それがどうのこうのと言う立場にない。 

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