各省庁は30日までに来年度の税制改正要望を財務省と総務省に提出しました。

▽国土交通省は、「住宅ローン減税」について、子育て世帯などに対し、減税の対象となる借り入れ額の上限を維持するいまの優遇措置について、建設費の高騰が続いていることなどから、来年まで延長するよう求めています。

▽経済産業省は、生産性を高める設備投資を行う中小企業を対象にした税負担の軽減措置を2026年度まで延長するとともに、新たな優遇策も追加するよう求めました。

▽観光庁は、訪日外国人が免税店で化粧品や食品といった「消耗品」を購入する際の上限額を撤廃するよう求めました。購入額には国内での転売を防ぐための上限が設けられていますが、購入時にいったん消費税分を支払い、出国手続きの際に払い戻す方式への切り替えが検討されています。上限を撤廃することでインバウンド消費の拡大を目指すとしています。

▽内閣府は、地方創生につながる自治体の取り組みに企業が寄付する「企業版ふるさと納税制度」について、地方の活性化に一定の効果がみられるとして、今年度までとしていた企業の法人税を大幅に軽減する特例措置を、2029年度まで延長するよう求めました。

政府・与党は、年末にかけて来年度の税制改正大綱をとりまとめることにしています。

税制改正の議論の焦点は

来年度の税制改正の議論では、防衛費増額の財源に充てるための増税の開始時期や、高校生などを扶養する場合の所得税や住民税の扶養控除の扱いが焦点となります。

政府・与党は、おととし12月、防衛力の抜本的な強化に必要な財源として法人税・所得税・たばこ税の増税を決め、2027年度に1兆円余りを確保することを決めました。

ただ、増税の開始時期については「2024年以降の適切な時期とする」として結論を持ち越しました。

去年の年末の議論では、自民党の税制調査会が派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を念頭に、当時の政治状況で具体的な開始時期を決めることは難しいとして、決定を見送る方針で一致し、公明党もこれに同調して、開始時期の決定は先送りされました。

防衛力強化に向けた予算措置が進む中、来年度の税制改正の議論で増税の開始時期が決まるかが焦点となります。

また、去年の年末の議論では、子育て支援策として児童手当が高校生まで拡充されることに伴い、所得税や住民税の扶養控除の見直しについても検討されました。

去年12月に決まった税制改正大綱では、▽所得税の課税対象から控除=差し引く額を年38万円から25万円に、▽住民税の控除額を年33万円から12万円に縮小する案を示し、この案をもとに、ことし年末に向けて結論を出すとしていて、来年度の税制改正では扶養控除の扱いも焦点となります。

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