東京・永田町の自民党本部

 自民党総裁選への立候補を検討している11人のうち6人は、親族から地盤を引き継いだ「世襲議員」だ。過去の総裁も多くが2世議員。党内の支持基盤が強固で大胆な政策を打ち出せる一方、多くが貧困を経験しておらず、首相になった際に「苦しんでいる人への想像力が働きにくい」との指摘も。専門家からは、2世の首相はまず自身の「特権性」を自覚すべきだとの意見も聞かれた。

 総裁候補11人のうち、石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相、小泉進次郎元環境相、林芳正官房長官は国会議員の父から地盤を引き継いだ。野田聖子元総務相は祖父、加藤勝信元官房長官は妻の父が衆院議員だ。

 「首相に直結する政権与党の代表が特権を有する世襲議員ばかりというのは異常だ」と話すのは、同志社大の岡野八代教授(政治学)だ。非世襲の総裁は、最近では菅義偉前首相しかいない。

 岡野氏は「シングルマザーに育てられた世襲議員を聞いたことがない」と例示。苦しんでいる国民への想像力が欠落している議員が多く、格差が広がる日本の首相にふさわしくないと強調する。

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