岸田文雄首相は5日、首相官邸で職務内容を明確にして成果で処遇する「ジョブ型人事」を導入する企業の経営者らと意見交換した。「ジョブ型人事の推進をはじめ労働市場改革は緒についたばかりだ。秋以降もこの流れを前に進めていく必要がある」と語った。

日立は入社前に職務を確定するジョブ型を取り入れている

政府は8月末にジョブ型人事を採用する企業として金融・保険、電機、通信など20社の先行事例を紹介する指針を公表した。このうち日立製作所やKDDI、三菱UFJ信託銀行など16社の経営者らが官邸での「ジョブ型人事推進会議」に出席した。

首相は「新しい資本主義で人への投資は重要な位置づけを占めている。若者もシニアも年齢に関わらず能力を発揮して働ける労働市場改革が必要だ」と訴えた。

従来の日本の雇用制度について新卒一括採用が中心で異動は会社主導のため「従業員による自律的なキャリア形成が行われにくいシステムだった」と指摘した。「個々に必要となるスキルを設定し、自ら職務やリスキリングの内容を選択していくジョブ型人事を導入する必要がある」と強調した。

富士通の時田隆仁社長は会議後、記者団に「ジョブ型といっても一人一人への向き合い方も大事だ。丁寧な労使とのコミュニケーションが大前提にあると思う」と言明した。

日立は政府が公表した指針で売上高や社員数の6割を海外で占めるためグローバル対応としてジョブ型を導入したと説明した。「経営戦略から逆算して組織の役割や仕事を定義して合う人材を育成する必要がある」と盛り込んだ。

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