自民党の加藤勝信元官房長官は10日、国会内で記者会見し、総裁選(12日告示―27日投開票)に立候補すると正式に表明した。国民所得の倍増を柱とする「ニッポン総活躍プラン」を打ち出した。

加藤氏が総裁選に出馬するのは初めて。「『共創』の価値観を大切に改革を断行し政策を進める」と強調した。日本の将来像に関し「世界から信頼される国、すべての人々が幸せを感じて安心して活躍できる社会」をめざす。

具体策として8項目を盛ったニッポン総活躍プランを示した。国民の所得倍増に向けて最低賃金1500円を2030年代半ばまでに実現する目標を前倒しで実現する。2000円を目指して支援策を講じる。

子どもの給食費と医療費に加え、出産費の負担をなくす「3つのゼロ」を公約する。低年金者を対象に受給水準の改善や、物価に応じた薬価の見直しも掲げる。

政治改革では、政党から議員個人に渡す政策活動費の上限や公開方法を25年3月までに決める。同じころまでに政治資金の監査役を担う第三者機関の詳細を詰める。

加藤氏は安倍政権で官房副長官や一億総活躍相、党総務会長を歴任した。2020年に厚生労働相として新型コロナウイルス対策の指揮をとった。24年春から北朝鮮による拉致問題対策本部長を務め、経験が乏しい外交に目配りする。

加藤氏の出身の茂木派からは会長を務めた茂木敏充幹事長も立候補する。政治資金問題を受け、同派は4月に政治団体として解散すると決めた。

知名度の低さが課題になる。日本経済新聞の8月の緊急世論調査では次期総裁にふさわしい人物として加藤氏を挙げる回答は1%にとどまった。

総裁選への出馬を表明したのは加藤氏で8人目。上川陽子外相や斎藤健経済産業相らが立候補を目指して推薦人集めを急いでいる。

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