自民党の加藤勝信元官房長官(68)=衆院岡山5区、7期=が10日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した。報道陣との主な質疑は次の通り。(佐藤裕介)

自民党総裁選への立候補を表明し、記者会見する加藤勝信元官房長官=10日、国会内で(佐藤哲紀撮影)

◆「分厚い転職市場をつくっていく」

―解雇規制の緩和について、どのような考えか。所得倍増の目標期限は。 「今進めている労働移動の円滑化を進め、分厚い転職市場をつくっていく。その中で人々が仕事を続けるか、違う仕事に挑戦するか、そうした機会を作り出していくことがまず大事だと思っている。それなくして、企業側から金銭をもって解決することができる、これを認めるのはまだ早いと考えている」 「国民の所得倍増の時期。実現するには10年や15年はかかる。この30年間、日本は賃金が上がってきていない。それを克服するには、それだけの時間がかかる」

◆「『旧姓続称制度』はあり得る」

記者会見する加藤勝信氏=10日、国会内で(佐藤哲紀撮影)

―政策活動費について、廃止を唱える総裁選候補者もいる。現状の「領収書の10年後の公開」以外に、何か具体的なものがあるのか。 「原則公開でいいと思うが、相手の問題から、どうしてもこのタイミングでは示すことができない難しいというものがあると思う。そういった場合は、第三者機関において情報を開示すべきかどうか判断してもらう。今の情報公開の仕組みでいいんじゃないのか。まずは原則公開、これが大事だと考えている」 ―選択的夫婦別姓の導入を認めるべきだという考えか。 「選択的夫婦別姓制度を求める声、その後ろにある事情はよく分かっている。まずそうした不都合を解決するためには、今の通称(使用を認める)制度では対応できない。したがって(結婚前の姓を)法律上の姓として使用を認める『旧姓続称制度』、こういったこともありうるんではないか」 ―麻生派でも政治資金パーティーのキックバックが判明。新たな事実が出てきた今、第三者機関をつくって調査し、厳正な処分ということをやるべきだと思うか 「私も事情は全部承知していないから、具体的に言及することはできない。新たな事実が出てくれば、それに対して的確に対応していく。これは当然の姿勢だと思っている」

◆マイナ保険証「DX化を止めてはならない」

―マイナ保健証について。今年12月に現行の紙の保健証が廃止される予定だが、廃止時期、一体化の時期についてどのように考えるか。 「今のスケジュール感自体は、私の厚生労働大臣の時に決めさせた。決めたスケジュールはやっぱり、しっかり守っていくべきだ。しかし、いろんな懸念があることは事実だ。資格確認書を活用しながら、当面の間はそれで対応していくとか、そこは柔軟な対応を求め、あるいは柔軟な対応をしながら、しかし大事なことは、いわゆるDX化に向けて社会を進めていく。私はこの努力を止めては絶対にならないと思う」 ―女性活躍について。賃金格差の是正をどう進めるか。

報道陣の質問に答える加藤勝信氏=10日、国会内で(佐藤哲紀撮影)

「明らかな異なる取り扱い、しっかり追跡をしていかなきゃいけない。それはまさに同一労働、同一賃金という考え方だ。同時に、より弾力的に働くことのできる環境をつくっていく。こういったことも大事だ」

◆「アベノミクスの精神、私の中に染み込んでいる」

―(安倍晋三元首相が掲げた経済政策)「アベノミクス」を想起させるような言葉がある。今回の(ニッポン総活躍)プランをつくるに当たり、アベノミクスをどれくらい意識したのか 「アベノミクスを比較しながらつくったわけではないが、安倍総理と一緒にアベノミクスを推進してきた。私の中にその精神が染み込んでいる。それを今、私の言葉や政策の端々から感じていただいているのではないかなと思う」 

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