政府は後期高齢者の医療費の窓口3割負担の判断基準について検討する方針

政府は13日の閣議で高齢社会対策大綱を決定した。75歳以上の後期高齢者のうち、医療費を3割自己負担する「現役並み」所得の対象拡大に向けて「検討を進める」と明記した。働く高齢者の年金額を減らす在職老齢年金の見直しを含めて「働き方に中立的な年金制度の構築」にも触れた。

2018年以来、6年ぶりに改定した。閣議前に開いた高齢社会対策会議で岸田文雄首相は「全世代が超高齢社会を構成する一員として希望が持てる未来を切り開けるよう大綱を指針に各種の施策を実施してほしい」と担当閣僚に指示した。

後期高齢者の窓口負担は原則1割で、一定の所得がある人は2割、「現役並み」の所得がある人は3割としている。現役世代は3割を負担している。「現役並み」の所得とは単身で年収約383万円以上を指し、全体の7%ほどにとどまる。

医療や年金といった高齢者向けの社会保障給付を巡っては、現役世代の負担の伸びを抑制することが課題になっている。政府が23年12月に示した社会保障改革の計画「改革工程」にも同様の方針が盛り込まれ、28年度までに検討すると記載していた。

在職老齢年金を巡っては、高齢者の就労を妨げているとの批判がある。大綱には、働き方に中立的な年金制度の構築を目指す方針を盛った。25年に迎える年金制度改正に向けて議題の一つとなっており、具体策の議論が進む見通しだ。

高齢者の就業促進にも触れた。65〜69歳の就業率の政府目標を新たに設け、29年に57%とした。23年の実績は52%だった。23年に74%だった60〜64歳は29年に79%をめざす。

21年から企業の努力義務となった70歳までの就業機会の確保措置について、29年は40%とする新たな数値目標を設定した。23年は30%ほどだった。

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